この笑顔を待っていた。巨人のサヨナラ勝利が決まると、一塁走者坂本勇人内野手(32)は殊勲打の岡本和に勢いよく飛び付いた。土壇場の9回、7番ハイネマンから安打と四球でつないだ逆転の芽。坂本は1死満塁から同点適時打を放ち、4番の劇的打を咲かせた。「最近本当に苦しい戦いが続いていて、みんなで何とか勝ちたいと思ってやっているけど、なかなか結果がついてこなくて。今日何とか1つ勝てたんで、いい勝ちだったと思います」。ファンの笑顔をお立ち台から見渡すと、さらに目尻を下げた。

対DeNA6連敗中と“ハマの呪縛”に苦しめられるチームに息吹を与えた。3点を追う4回無死一塁ではバックスクリーンへの反撃弾。6回には昨年9月以来となる2打席連続アーチを右翼席へ。仲間と「わっしょいポーズ」を連発した。14試合ぶりの打点となる2発を含め3安打4打点。「もっとバッティングで貢献したいと思ってやってるんですけど、なかなかチームを助けるホームランだったりを打ててなかった。こういう苦しい中で少しでも貢献できて良かった」と喜びをかみしめた。

守備でも6回に三遊間のライナーをダイビングキャッチ。懸命なプレーで呪縛解除に導いた主将に、原監督も「やっぱり中心選手がやってくれると勢いがつく。そういう意味では少々勢いがつくのではないかなという感じがしますね」と目を細めた。首位阪神と2・5ゲーム差で残り30試合。17日からは2位ヤクルト2連戦に首位阪神戦が控える。坂本は「残りがすごく少ないので、僕たちは1試合1試合何とか勝つという気持ちだけで頑張っていきたい」と、表情を引き締め直した。【浜本卓也】