広島の自力CS進出が消滅した。投打に精彩を欠き、敵地のヤクルト戦に敗れた。

先発高橋昂が立ち上がりに2被弾するなど4回4失点。打線はヤクルトを上回る12安打を放ちながらも、1得点に終わった。連敗で、借金は今季ワーストタイ16に膨らんだ。16年から昨年まで5年連続で勝ち越していたヤクルトには今季、5勝11敗2分けと大きく負け越している。

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立ち上がりの3点ビハインドから、最後まで重い空気を振り払えぬまま、広島はゲームセットを迎えた。佐々岡監督は立ち上がり2被弾の高橋昂を4回で見切り、3点を追う7回無死一塁では代打1番手の松山を起用。何とか流れを変えようとするも、変わらない。代打策はハマらず、踏ん張っていた中継ぎ陣もバードが8回に手痛い失点を喫した。連敗で借金は今季ワーストタイ16に膨らみ、自力CSの可能性が消滅した。

佐々岡監督 1戦1戦、自分たちの野球をするしかない。応援してくれるファンもいるので、勝ちというものを(見せるために)明日からもやるだけです。

神宮の夜に秋風が吹く中、指揮官は自らを鼓舞するように言葉を絞り出した。ヤクルトを上回る2桁12安打を放ちながら、わずか1得点に終わった。1回の3失点で策を講じにくい展開にはなった。ただ、それでもまだ攻撃は8イニング残されていた。佐々岡監督は「相手は長打、本塁打で得点が入る。その差だと思う」と一発長打に欠ける攻撃を嘆いた。

ただ、昨季から続く得点力不足改善に、長打力アップを掲げていたわけではない。河田ヘッドコーチを迎え、機動力再建や無安打でも得点できる攻撃に取り組んできたはず。シーズンに入っても、大砲クロンを外し、若手を積極起用してつなぎの打線にシフトした。チーム打率2割6分はリーグトップも、総得点は同5位。機動力が機能しているとはいえず、選手個々の打力に委ねた攻撃では、得点力不足を解消できない。

16年から昨年まで5年連続で勝ち越していたヤクルトに今季は大きく負け越す。昨季までヤクルトに在籍していた河田ヘッドコーチは「力が上がっている」と敵の成長を認める。Aクラスの背中が遠くなった広島も、成長の歩みは止めてはいけない。佐々岡監督は「うちは1戦1戦、戦っていくしかない」と繰り返す。目先の結果だけではなく、その先につなげていくことも、チームとして求められる。【前原淳】