20歳の若武者が、意地の一振りを見せた。オリックス太田椋内野手が8回に一時同点となる3号ソロを放った。

1点を追う8回2死。ロッテ佐々木千の初球スライダーを捉え「打った瞬間、入ってくれると思いました!」と抜群の感触だった。5月7日ロッテ戦(ZOZOマリン)以来の1発。今季3本塁打全てがロッテ戦のZOZOマリンと相性の良さを見せている。

自力ではい上がる。今季開幕の3月26日西武戦(メットライフ)では「2番二塁」でスタメン起用された。首脳陣に高い期待をされた太田だが、バットでも、守備でも結果が出なかった。2軍落ちも経験し、球団寮のある大阪・舞洲でバットを振る日々。こんがりと日焼けした顔で、ふと思い出すのは中嶋監督からのメッセージだった。

指揮官が2軍監督だった昨季前半に「チームを変えられる選手になれ」と愛あるゲキをもらっていた。太田は「自分は小さくなってはいけない。大きく振る意識で」と空振り三振を何度しようが、信念を貫いた。

プロ16年目のT-岡田が逆転3ランで試合を決めた夜。次世代の生え抜き大砲候補が、目を覚ました。【真柴健】