10月28日は巨人監督として9年連続リーグ優勝、9年連続日本一を遂げた川上哲治氏(享年93)の命日だった。

戦中戦後のスーパースターは現役時代に「ボールが止まって見える」と名言を残し、史上初の2000本安打を達成。“打撃の神様”の異名をとった。

巨人監督として米大リーグの「ドジャース戦法」を採り入れて勝ち続ける。「管理野球」「先乗りスコアラー導入」「査定のコンピューター化」「スカウトの全国展開」など、日本球界に革命を起こした。

「球際」は1965年(昭40)の宮崎キャンプでひらめいた相撲からとった川上監督の造語。生前には「捕れない球でも飛びついて、グラブではたき落としてでも食い止める。土壇場まであきらめない粘り強いプレー、戦いだ」と語った。

前人未到のV9は川上イズムが浸透した成果だった。原巨人はV逸で3連覇ならず。長男貴光氏は「よその戦力も動くし、なかなか続けるというのは難しい。最下位から優勝するチームもあるわけで、時代でしょうね」と話した。

この日、故人の墓前には、鮮やかに供えられた花が秋風に揺れていた。野球の神様は「巻き返せ!」と古巣にハッパをかけているかのようだった。