ヤクルトが、6年ぶりの日本シリーズ進出を決めた。「2021 JERA クライマックスシリーズ セ」のファイナルステージ第3戦に引き分け、巨人相手に2勝1分けと不敗で突破した。青木宣親外野手(39)は、7回2死満塁で2点適時打を放って貢献。ベテランが最後に大仕事を果たした。20年ぶりの日本一へ、20日開幕の日本シリーズでオリックスと対戦する。

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青木はベンチで最後の打者を空振り三振に打ち取ったのを確認すると、何度もガッツポーズをしながら、ゆっくりとマウンドへ向かった。10月26日、リーグ優勝を決めた際は、2位阪神が敗れるのを確認する前にベンチを“フライング飛び出し”。ナインを迎えた形だったが、今回は仲間とともに歓喜の輪に加わった。

ノリはすげぇ。1点ビハインドの7回2死満塁。代わったばかりの中川の初球、甘く入ったシュートを見逃さなかった。「なんとかしたかった。最高の場面で打つことができて良かった」と喜んだ。今季は日米通算2500安打を達成。ベテランの活躍に敬意を表した田口が「ノリはすげぇ」と書かれたTシャツを作製。燕党の中でも流行語を、体現させた。

満足のいく成績ではなかった。今季は打率2割5分8厘。CSファイナルステージでは、7回の打席まで9打数1安打。8打席で安打がなかった。「結果が出ないと一番ストレスを感じる。この世界は1人1人が生き抜いていかないといけないところだから」。チームの勝利に貢献するのは大前提。だが、生活をしていくために、成績を残さないといけない。大リーグで7球団に所属し、18年間プロでいるからこそ、生き抜く難しさを知る。

「ワールドシリーズもそうだが、国際大会だったり、大舞台は独特な緊張感がある。ビッグゲームで力を発揮できるように、と思う」と静かに闘志を燃やした。戦いはまだ続く。歓喜は何度あってもいい。試合後は満面の笑みでCSの優勝シャーレを掲げた。結果に飢え、自身の打撃を追求し続けた日々だからこそ、笑顔がより輝いた。残る目標は、01年以来、20年ぶりの日本一。経験を生かし、今季最後の決戦でも結果で期待に応える。【湯本勝大】