来季4年目の矢野阪神が17年ぶりのリーグ優勝するために必要なものは? 「背水矢野虎 来季Vへの具体的方法論」の第6回は近鉄、日本ハム、楽天で監督を務めた梨田昌孝氏で、日本人中心のチーム作りが常勝への近道と説いた。【取材・構成=寺尾博和編集委員】

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外国人次第というチームがある中でも、特に阪神は助っ人に対する依存度が高い。今シーズンの「投打8人制」が示したように、チーム作りは助っ人頼みになっている。

実際に今年はそれが功を奏したところもあった。新型コロナウイルス感染拡大による“特例”によって外国人枠も緩和され、複数のパターンの起用が可能だったからだ。

しかし、来シーズンは不透明で、今後の状況によってベンチ入り枠も変わってくるだろう。また、わたしも経験しているが、新外国人の見定めというのは非常に難しい。

チーム作りは日本人選手中心が理想といえる。阪神もそうしたいだろうが、チームが置かれた状況が許さないのかもしれない。できれば日本人で埋まらなかった部分を外国人でカバーしたい。

そのためには現有戦力の底上げが必要で、長打のある大山、佐藤輝らのレベルアップは絶対といえる。大山は秋季練習で内外野に取り組んだようだが、ポジションが定まらないのが現在の評価なのだろう。

ピッチャーにしても枚数が足りない。スアレスが抜けた穴をどうするかは最大テーマだが、先発の顔ぶれもそろわない。西勇の不調が大きかったからで、計算のできる先発陣を組み立てたい。

それに「7回」に投げる人材も固定出来ずじまいだった。この回に投げたのはアルカンタラ、エドワーズ、加治屋、岩崎、岩貞、及川、斎藤、守屋、小川、小野、小林、石井大、藤浪、馬場の14人で、ここも解消したい。

開幕から勢いよく飛び出したから、だれもが優勝すると思ったことだろう。だがシーズンが進むにつれて、なんだか“ボヤっ”とした選手起用にも感じられた。それは梅野か、坂本かといった捕手の起用に表れている。

来シーズンも優勝争いができる戦力はそろっている。うまくチームの士気を上げながら戦いたい。