ロッテ吉田裕太捕手(30)は4月23日に出場選手登録を抹消され、今季はそのまま1、2軍とも試合出場がなかった。

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戦線離脱した理由は、生中継を見ていないと分からなかった。4月21日の日本ハム戦(ZOZOマリン)でケガをしていた。

「ヒロミがファイターズの杉浦からサヨナラホームランを打った時の、僕が前の打者だったんですけど。その時のスライダーをファウルにしたんですけど。もともと痛くなかったんですけど、それです。その1スイングで痛めて」

遠目に異変は感じられなかったが、映像を再度見返すと、初球のスライダーへのタイミングが早く、ファウル後に表情を少ししかめていた。「バキッて感じになって。痛いんですけど、その打席は必死に」。さらに2球粘って、最後は低めのスライダーを豪快に振り、センターフライに倒れた。直後、岡大海外野手(30)が逆転サヨナラ本塁打を放ち、吉田も歓喜の輪に加わった。“ヒロミナイト”と呼ばれた夜が今年、最後の試合になった。

ヤクルト内川の自主トレに参加し、学び、打撃が固まりつつあった。「今までにない感じがありました」と好調なオープン戦をそのままに、3月26日のソフトバンクとの開幕戦(ペイペイドーム)では9回2死、相手守護神の森から代打本塁打を放ち、首脳陣の期待に応えた。

状況は戻らない。7月10日、左手関節の三角繊維軟骨損傷への関節鏡下縫合手術を受けた。競技再開は5カ月後とされ、いわゆる「今季絶望」となった。

「つらかったですね。つらかったですけど…」

そう言って、続けた。

「このケガで来年もっと活躍できるようにレベルアップできればと思って日々やってたので、なんだろう、ネガティブな感じはあまりなかったですね」

秋になると、井上晴哉内野手(32)も左右が違うだけで同じケガに見舞われた。「来年は絶対に2人で頑張ろう」。井上からそんな声も掛けられながら、次のシーズンへ備えてきた。

手術から5カ月が過ぎ「守備は100%できて、打撃は素振りとティー程度ですかね。12月中にしっかりマシン打撃ができればと、トレーナーさんと相談しています」との段階だ。開幕戦弾を放ったような勝負強い右打者を、チームは求めている。【金子真仁】