ビッグなお願い! 今季セ・リーグMVPに輝いたヤクルト村上宗隆内野手(21)が28日、故郷熊本の蒲島県知事に新球場の建設を直訴した。熊本県庁で「くまもと夢づくり賞」表彰式に出席。将来を担う子どもたちへの環境作りとチームの公式戦定期開催のため、熱い思いを語った。自身初の本塁打王に輝くなど受賞ラッシュの1年。日本一に大きく貢献した若きスラッガーが、地元で最後に大きな願いを込めた。

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県では5例目となる栄誉ある賞を受賞した村上が、蒲島知事に向けて、あいさつの後半で切り出した。

村上 1つお願いですけど、藤崎台球場がほんとに古くなってきていて。ほんとにいい球場、いい施設で、子どもたち、これからを担う将来の野球選手たちに、いい環境をつくっていただけないかなと、勝手ながら思っています。

プロの試合も定期的に行われてきた球場だが、設備も古く、直近2年はコロナ禍もあり公式戦が開催されていない。「新球場をつくることによってプロ野球チームも来やすくなると思いますし。熊本が活気づくというか、野球人口が減っている中で、熊本の皆さんも少しでも野球に興味を持ってもらえたらなという思いで、言わせていただきました」。ヤクルトに限れば同球場での公式戦は17年4月の巨人戦が最後で、村上はまだ入団していない。「これから先、1年に1回という形でも来たいなと思っています」と“凱旋(がいせん)試合”も楽しみにしている。

九州学院高時代から「すべてが思い出に残っています」という舞台だ。現存の球場を改修するか、新たに一から新球場をつくるかは県の判断に委ねるが、子どもたちのため、県の活性化のためという根本の思いは変わらない。「完成するには長い時間がかかるので。僕もなんとか、それまで現役を続けられるように頑張っていこうと思います」。「夢づくり賞」を受賞した強打者は自らの夢の実現まで、力強くバットを振る決意だ。【鈴木正章】

◆リブワーク藤崎台球場 熊本国体が行われた1960年(昭35)に完成。96年にメインスタンドを改修した。72~19年にプロ野球公式戦を66試合開催。18年7月14日には熊本県初のオールスター戦を開催した。スコアボード裏に広がる樹齢推定1000年の巨大クスノキ群が名物。収容2万4000人。18年6月、住宅会社「Lib Work(リブワーク)」と命名権契約を結んだ。所在地は熊本市中央区宮内4の1。

◆くまもと夢づくり賞 国内外における顕著な活動により県民に大きな夢を与えた個人・団体に対し、その栄誉をたたえることを目的に09年3月に創設。県民栄誉賞に並ぶ最高賞とされる。過去の受賞者は小山薫堂(脚本家)、浦田理恵(ロンドンパラリンピック・ゴールボール女子)、九州学院剣道部ならびに米田敏郎監督、富田宇宙(東京パラリンピック水泳)。

○…村上が県庁訪問後に熊本市役所で「熊本市スポーツ特別功労者」の表彰式に出席し、年内の受賞ラッシュを締めた。90年代からのヤクルトを見てきたという大西市長から記念盾を受け取ると「今年から熊本市親善大使をやらせていただいておりますので、もっともっと熊本市のことを全国にPRしたいなと思っていますし、微力ですけど、力になれればなと思っています」とあいさつした。