チームも田嶋も、待望の1勝だ。オリックス田嶋大樹投手(25)が7回無失点の好投で今季初勝利。チームにも6戦全敗だった楽天戦の初勝利をもたらした。昨年2勝無敗、防御率1・42を誇った相手をこの日も封じた。「うれしかったですよ。苦労した分うれしさが勝りました」と、杜(もり)の都の美しい夜空にヒーローインタビューの声を響かせた。

ピンチを背負うたびに、投球も気迫も出力を上げた。1-0の4回無死満塁。「1点は仕方ないかな。あそこをゼロで抑えようと思うと、より苦しくなる」と割り切ったというが、結果は違った。炭谷を浅めの中直に抑え、三塁走者マルモレホスの生還を阻止。武藤は三振、西川は一塁ゴロに打ち取り、1点も許さなかった。

ここまで先発6試合で5試合クオリティースタート(6回自責3以内)を続けても、白星に恵まれなかった。だが勝利への飢餓感より「健康で野球ができている。それだけでありがたい。今はまだ言えませんが、今年の冬くらいにぼくの考えかたが変わる出来事があったので、感謝の気持ちがより深くなったんです」と明かした。思うところがあった。

1点を守る気迫は、尊敬する平野佳を見習った。普段から「毎試合、すごいプレッシャーの1点差で、しっかり投げる。優しくて、器の大きな人。すごいという言葉しかない」と畏敬の念を抱く守護神の姿を思い浮かべ、115球、腕を振り続けた。この日、その平野佳から22勝目の勝利球を贈られた。忘れられない夜になった。【堀まどか】

○…新外国人のマッカーシーが1軍デビューを果たした。11日に来日し、5試合の2軍戦出場を経て19日に仙台入り。5番・DHで先発に名前を連ねた。チームの得点力不足を解消する働きを期待されるマッカーシーは「自分は粘り強い打者だし、守りでも貢献できる」と自負。この日は4打数無安打に終わったが、9回の第4打席では右翼フェンス手前まで大きな飛球を飛ばした。中嶋監督も「惜しかったなあ、最後…。でもまあ、楽しみですね」と今後に期待した。

○…大城が今季2号で田嶋に唯一の援護点を贈った。3回2死無走者で楽天先発の滝中の141キロストレートを捉え、左中間スタンドに運んだ。「打球もそこまで上がっていなかったので、まさか入るとは思わなかったんですが、いい感触で打つことができましたし、先制の1本になってくれてよかったです」。10日日本ハム戦の今季1号に続き、いずれも勝利につながるアーチになった。

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