連敗止めた! 広島床田寛樹投手(27)が「日本生命セ・パ交流戦」の日本ハム戦(マツダスタジアム)に先発。8回を投げ、三塁を踏ませず、2安打無失点に抑えた。降板直後の8回にチームが先制&決勝点を挙げ、リーグトップに並ぶ5勝目を記録。キャリアハイの12奪三振で交流戦自身初勝利を飾った。今季ワーストタイだったチームの連敗も「4」で止めた。本拠地6連戦のカード頭を左の柱で取った。

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セットポジションから床田が投げた118球目。この日最速の152キロが、バットに空を切らせた。乾いた捕球音ののち、スタンドから歓声が沸いた。0-0の8回2死カウント2-2からの力を込めた1球。指にかかった直球で、自己最多の10個を更新する12個目の三振を奪い、8回2安打無失点。拍手喝采につつまれながら左腕はベンチに引き揚げた。自身交流戦初勝利。「自分の交流戦初勝利もそうだし、何よりチームの連敗を止められたのが一番うれしい」と安堵(あんど)の表情を見せた。

まさにチームを救う投球だった。前カードのソフトバンク3連戦で投手陣が26失点して3連敗。リーグ屈指の先発陣が崩れた。大瀬良、森下、アンダーソンの3人で20失点。苦しい試合が続いていた。しかし左腕は「昨日休みで流れもリセットされているだろう」と、気にとめず腕を振った。

大瀬良らに並ぶリーグトップタイの5勝目。5月にして19年の自己最多7勝に迫ってきた。好調の要因はケアにある。マッサージなどの治療を受ける頻度は「元々週1だったが、今は週3回」。今春キャンプから回数を増やしたという。「入団当時は治療を受ける意味がよく分からなかった。でも主力の選手もみんな(治療を)受けている」と、他の選手を観察し、回数増に踏み切った。「今年から(登板日に)練習に出ずに治療を受けて、そのままの流れでやってみたら、体の感じがすごく良かった」。22年流の調整法が早くも5勝の結果に表れている。

佐々岡監督も本拠地6連戦の初戦を白星に導いた左腕を「今日は床田に尽きる。連敗でイヤな空気の中素晴らしい投球」と大絶賛。投球内容はもちろん、ケアの手法まで今年の床田はひと味違う。【前山慎治】

○…広島堂林が決勝点をお膳立てした。0-0の8回、先頭床田の代打の代打で出場。日本ハム宮西の5球目を捉えた大飛球はわずかに左翼ポール左を通過。打ち直しとなった7球目を左翼線への二塁打とし、菊池涼の決勝犠飛の呼び水となった。「上位に回せばチャンスになるので、何とか塁にという気持ちでした。ソフトバンクにああいう負け方をしてふがいなかった。とにかく勝てればいい」。先発出場では2戦連続無安打も、代打率3割7分5厘と勝負強さが光る。

○…広島菊池涼が値千金の決勝犠飛を記録した。0-0の8回1死三塁、日本ハム4番手玉井の高めカットボールを左翼へ打ち上げ、均衡を破った。先発床田と一緒に上がったお立ち台で「トコちゃんがキレッキレの投球をしていて、僕らにキレが全くなかったので申し訳ないなと思っていましたし、絶対ここで1点取りたいという気持ちで入りました」と笑顔。この回で降板した左腕に交流戦初星をプレゼントした。

○…今季初先発の広島中村奨が外野守備で好守をみせた。0-0の4回1死一塁。万波の左中間への飛球を背走からジャンプして好捕。スタートを切っていた一塁走者よりも速く、一塁に送った。併殺かと思われたが、直前の投球動作をボークと取られ1死二塁から再開となった。ただ、抜けていればインプレーとなり、先制を許していた可能性が高かっただけに「防げたっていうのは、1つ(投手を)救えるプレーができたかなと思います」と無安打ながら存在感を示した。

○…栗林が新人から2年連続2桁セーブを記録した。1-0の9回。無死一、二塁のピンチを招くも、代打杉谷の投手前のバントを自ら好フィールディングで三塁封殺。日本ハムの代打攻勢も振り切った。「三塁でアウトにできたことは、これからに生きるのかなと。4連敗、5月最後の試合というのもありますし、1週間の始まりというのもあるので、いろんな思いを考えながら準備はしていました」。連続無失点を14試合に伸ばし、3戦連続セーブと安定感が光る。