冷静沈着な守護神は、珍しく興奮していた。オリックス平野佳寿投手(38)が9回に3番手で登板し、リーグトップとなる15セーブ目を挙げ、史上7人目のNPB通算200セーブを達成した。

「(節目は)知ってました。考えてみれば、いつもより高揚していた。正直、早く(記録を)決めて次に、という方が僕の中ではあった」

日頃は抑えても、打たれても表情を変えない。ベテラン右腕が破顔した。618試合目での達成はNPB史上最遅。酸いも甘いも経験してきただけに「誰もがどこかで失敗する。失敗がないと次につながらない。大事なのは、次に向けてしっかり準備すること。そこで抑えたら、また元気に戻る。切り替え…というよりも、忍耐の言葉が近い」と深くうなずく。

06年希望枠で入団時は先発投手。後に救援に回り、守護神を任されるが「単に、僕が最後に投げているだけ」と謙遜する。「一生懸命みんなで競い合って戦っている。昔だったら、岸田さん(現・2軍投手コーチ)とか、(佐藤達也広報に目をやり)彼とか。みんなそういう人と一緒にやってきた」と味方であり、競争相手に感謝する。

記念ボードは、かつて8、9回を任された佐藤広報から受け取った。「本当に、僕は最後に投げているだけ」と仲間を思い、足場がザクザクの最後のマウンドに立ち続けた。

毎試合で任される3つのアウト。平野佳には独特の考え方がある。「先頭打者をアウト取るのは当然という考えが通例ですけど…。自分の中では2アウトまで、きっちり。そうすればラッキーアウトでチェンジも考えられる」。強靱(きょうじん)なメンタルがある。

これで交流戦3カード目で初のカード勝ち越しを決め、借金3。この日はパ・リーグで1人勝ち。守護神は「あまり先を見ずに。1歩前だけ見て頑張りたい」。ハイタッチの輪には背番号16がいる。【真柴健】

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