最初も“最後”も、4番が決めた。ヤクルト村上宗隆内野手(22)が2打席連発となる19号逆転満塁本塁打で、チームを「日本生命セ・パ交流戦」4年ぶり2度目の優勝に導いた。

1点を追う6回2死満塁、ソフトバンク嘉弥真から右翼席へ。5回には18号2ランも放ち、この試合6打点。交流戦初戦の5月24日日本ハム戦(神宮)は延長11回にサヨナラ弾で勢いづけた主砲が、優勝のかかった一番でも勝負強さを発揮した。ヤクルトはセ・リーグでは初となる全カード勝ち越す完全優勝で、優勝賞金3000万円を獲得した。

   ◇   ◇   ◇

納得の1発だった。6回2死満塁、村上が試合を決めた。対するは変則左腕の嘉弥真。フルカウントからの7球目。「無我夢中に前に飛ばすことだけを意識していた」。内角低め130キロスライダーを捉えた打球は、ライナーで右翼テラス席へ。「入ってくれてよかった。ああいう左ピッチャーから打ったことはすごくうれしかったです」。逆転の、そして交流戦優勝を決めるグランドスラムだ。

ベンチに戻ると、直前に三振に倒れていた山田と抱擁。「本当にカバーのしあいですし、僕がエラーした後も哲人さんが守備でアウトにしてくれたりとか、お互いカバーできているので。哲人さんだけじゃなく、ベンチにいる全員が同じ気持ちでいるので、なんとかこうやって勝つ試合が増えて、いい方向に行っているかなと思います」とうなずいた。

“ご当地”での強さも相変わらずだ。3点を追う5回無死一塁では左翼テラス席へ18号2ランを放ち「九州の空気はやっぱりおいしいです」。前日10日にエース千賀から決勝17号ソロを放つなど、熊本出身の主砲は、ペイペイドーム通算は5試合で通算16打数9安打。打率5割6分3厘、5本塁打、10打点と抜群だ。

自身の劇的なサヨナラ弾で幕を開けた交流戦は、53打数20安打の打率3割7分7厘、6本塁打、13打点と「MVP級」の活躍。出塁率5割3分5厘、長打率は7割5分5厘。OPS(出塁率+長打率)は1・290と、1を超えれば超一流とされる指標で、驚異的な数値をマークする。

チームは4年ぶり2度目の交流戦V。前回18年は新人で出場していないが、4年が経過し、すっかりチームの中心となった。「僕らが打てない時は本当にピッチャーの方々が粘って粘って抑えてくれていますし、本当にチーム一丸となって戦えているなと思います」。心技体ともにたくましく成長した主砲が、これからも存在感を示していく。【鈴木正章】

【関連記事】ヤクルトニュース一覧