人生、変えるん弾!! 日本ハム木村文紀外野手(33)が、逆転1号3ランを放ってチームを3年ぶりの5連勝に導いた。1点を追う7回に、左翼席へ試合を決めるアーチを描いた。後半戦から捕手とDH以外の打順固定を明言している新庄剛志監督(50)へ向け、強烈なアピールに成功。滑り込みでレギュラー奪取を目指す野手最年長の意地がさく裂し、BIGBOSS野球が大きな波に乗ってきた。

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木村は「全てを懸けて打席に入りました」と振り返った。1点を追う7回2死二、三塁。迷わず、いつも通りの心がけを貫いた。「真っすぐに振り負けないように」。楽天則本の150キロ直球を捉えた。小雨を切り裂く鋭い打球に、新庄監督も思わずベンチから飛び出した。「今年イチ、興奮した」というBIGBOSSも跳びはねながらガッツポーズする、左翼席への逆転1号3ランとなった。

インパクトの大きい決勝弾は、レギュラー奪取へ大きなアピールとなった。7日ロッテ戦の試合前、新庄監督は今季初のミーティングで、後半戦からの打順固定を明言。最近のBIGBOSSは「2日、3日あれば、人生は変わる」と口酸っぱく言う。与えられたチャンスでいかに結果を残せるかを重視する中で、試合を決める1発を放った木村も「自分自身が一番ホッとしている」とうなずいた。

逆転弾を放った後は、高ぶる気持ちを抑えながらダイヤモンドを1周した。「はしゃぎすぎて、ケガをしないように」と、慎重に走った理由がある。開幕1軍入りを逃した3月末、走塁中に左太もも裏を肉離れした。全治3カ月の診断を受けたが、心は折れなかった。「ビッグボスも全員(1軍で)使ってくれると言っていたので、早く治してやろうと」。前向きな気持ちは回復を早め、約2カ月で実戦復帰。6月末には1軍昇格を勝ち取った。

そして、この日の1発で次のチャンスも勝ち取った。新庄監督は「明日も木村君を何番か分からないけど、いきます」と、14日のスタメンも明言した。7日のミーティングから今季初の5連勝。木村は「選手も強く(アピールと)思っているのが、連勝につながっていると思う」。個々の必死な気持ちが重なって、日本ハムのチーム力がグングン上昇中。野手最年長の木村の1発が、さらに競争を熱くさせそうだ。【木下大輔】