これが、令和のお祭り男だ! 「マイナビオールスターゲーム2022」第1戦(ペイペイドーム)は2-2の9回2死走者なしで、全パ日本ハム清宮幸太郎内野手(23)が左翼ホームランテラスへサヨナラソロを決めた。

MVPに選ばれ、賞金300万円をゲット。MVPの賞金でチームの裏方さんにプレゼントを、という新庄監督の指令を完遂した。観客の入場制限がない球宴は3年ぶり。プラスワン投票による最後の1人で選ばれた男が、最後の最後、一振りで全てを持って行った。第2戦は27日に松山で行われる。

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軌道が全ての野球ファンの視線を集めた。同点の9回2死走者なし。清宮は「森下さんは(高校の時)U18で一緒にやらせていただいた仲。絶対真っすぐで来てくれる」と信じ、広島森下のオール直球にフルスイングで応えた。ファウル3つと食らいつき、カウント1-2からの5球目。低め154キロを左翼ホームランテラスへ放り込んだ。

球宴初安打を劇的に飾った。ダイヤモンドを回る感覚は「ふわふわ」。ただ、西武山川がピコピコハンマーを手に待ち構えているのは目に入った。「なんだ、あれ」。笑いをこらえつつ、スターたちが待つ本塁へ。もみくちゃにされ「最高の思い出です」と喜びに浸った。

公言を果たした。前半戦最後の24日ロッテ戦に勝ち、お立ち台で「なまらフルスイングしてきます。オールスター、ホームランを打ってMVPをとります」と地元ファンに宣言。新庄監督からの獲得指令もクリアし、裏方さんに何を贈るか「これからいろいろ考えたい。どうしよう」とうれしい悩みができた。BIGBOSSに何と報告するかを問われると「やったぜ!」。感情を詰めた。

大舞台が好きだ。ルーキーだった18年のフレッシュ球宴でもソロを放ち、優秀選手に輝いた。「楽しかった記憶があります。何か名前が残るような、名前が出るようなことができれば」と狙っていた。まぎれもなく、ファンに「清宮幸太郎」の名を刻んだ。

27日には、もう1つ大役がある。この日のホームランダービーでソフトバンク柳田の投手役を務め、決勝進出をアシスト。「ピッチャーが一番緊張しました」と笑いを誘ったが、本心には「あんなに優しい大先輩はいない」と、オフの自主トレをともにする先輩への感謝があった。締めの言葉は「スターの方たちの中でやれる幸せをかみしめながら、松山で、もっともっといい試合を見せられるように」。お祭り男は、もっともっと本領を発揮する。【古川真弥】