自信を持つ、って簡単なようで難しい。29日にヤクルトへの交換トレードが発表されたロッテ山本大貴投手(26)へのこれまでの取材では「自信」のキーワードが何度も出てきた。

「僕自身、性格も理解した上で。緊張しいだったり、そういうところがあるので」

サイドハンドに近いリリースポイントである上に、フォームも独特。左腕としての個性を、ロッテでは存分に生かせなかった。

昨冬の契約更改でも「シーズン中は考えすぎなところがけっこうあって」と振り返っていた。鳥越2軍監督からも、そこを指摘されていた。

「もっと自信をもって投げろ」

「自分を過小評価しすぎている」

「結果に一喜一憂しすぎるな」

考える人。「自分では100%でやっていても、動き方次第では他の人から見たら、60%くらいしか動かしていないとか、そういうふうに見られてしまうので」と話したこともある。自分で思う自分。第三者から見える自分。ロッテでの4年間は自分探しであったのかもしれない。

19年オフには、プエルトリコでのウインターリーグに安田、岡とともに派遣された。見知らぬ環境で多くの経験を積んだ。持っていた赤いグラブは、帰国時にはもうなかった。「向こうの選手にねだられて交換したんですよ」。スペイン語はよく分からなかったけれど、帰国時に持っていた水色のグラブには「GOD AND FAMILY」と刺しゅうされていた。

「プエルトリコでは考え方というより、プレー1個1個に対する切り替えを学びました。いい時はノリノリだし、切り替えが早いから、重くならない」

心技とも学び続け、今年で5年目。大化けする可能性を秘めながら、セ・リーグの新天地ヤクルトへ羽ばたく。【金子真仁】