本人も驚きの1勝だ。楽天鈴木翔天(そら)投手(26)が、3点リードの2回に2番手として登板。2イニングを3安打1失点に抑え、プロ初勝利を挙げた。4年目の今季に飛躍を遂げた若き左腕は不調で一時2軍調整となった時もあったが、シーズン終盤に立て直し、待望の1勝をつかんだ。

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鈴木翔は、初白星を手にしたことを知らなかった。9回、松井裕が無失点で抑え、試合が終わった。球場ビジョンに初勝利を知らせる表示がされたが、それを見ていなかった。周りから「おめでとう」と祝福され、困惑。松井裕からウイニングボールを手渡されると「まさかでしたね、正直」と照れくさそうに笑った。

完璧とは言えなかった。2回は2死二塁からデスパイネに中前適時打を浴びて1失点。イニングをまたいで続投したが「打たれはしましたけど、ズルズル行かず。ストライク先行だったり、腕を振ることはできた」とうまく切り替えた。3回は3者凡退で封じ、荒れた序盤を締めた。

プロ4年目での初勝利。「長いようで短いというか。あんまり野球をできてこなかったので、今年が一番長く感じている1年だと思います」と振り返る。向上(神奈川)から富士大をへて、18年ドラフト8位で入団。何度もケガに苦しみ、昨季までは1軍の登板は7試合にとどまった。今季はすでに中継ぎとして28試合に登板。「確実に言えることは、去年よりはストレートも良くなってますし、前進はしていると思う。これからもポジティブに前を向いて頑張ります」。

直球の最速は150キロ半ばに達し、貴重な左のパワーピッチャー。「自分の調子うんぬんじゃないと思うので、チームが勝てるためになにをすべきかを考えてやっていきます」。逆転優勝へ向け、ブルペンでフル回転する。【湯本勝大】

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