西武外崎修汰内野手(29)が、混パを演出するアップルパンチを食らわせた。敵地でのソフトバンクとの首位攻防第3ラウンド。両チーム無得点で迎えた7回に、千賀から左翼席へ11号先制2ランを放った。打順を1番から7番に入れ替え心機一転。これが値千金の決勝弾となり、同一カード3連敗を阻止した。4-1で勝ったチームの順位は2位のままだが、ゲーム差なしで3チームがひしめき合う三つどもえ状態となった。

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割り切ってはいたが、どこか頭の中に、その残像が残っていた。外崎は7回1死二塁、全球フォーク攻めでカウント1-2と追い込まれた。狙いは千賀の直球。ただ1、2打席目は初球から振りにいって凡退していた。「真っすぐ、あとは食らい付こう」。4球連続低めにきたフォークに前かがみになりながら、左翼席へ運んだ。値千金の11号先制2ラン。今カード11打席連続凡退とため込んだ分だけ、破壊力は大きかった。

ベンチに戻ると、その“運気”に目を付けた森が体をタッチしてきた。「運気吸い取る感じで触ってきたので、やめてくれと」。のけぞって拒否したが、運気は森に乗り移った。その回、3点差としなおも満塁のチャンスで打席が回ってくると、右前適時打で突き放した。吸い取られた外崎は8回の打席を空振り三振に終わったが「声も出ていたし、チームはいい雰囲気です」と恨み節はない。

心機一転の打順組み替えが、功を奏した。前日まで後半戦全31試合連続で起用された1番から7番に変更された。辻監督は「1番って自分も経験したけど難しいんですよ。気分転換というところもあるしね」。親心を受けた外崎が苦悩の時に思い出すのは1本の糸だった。「外、外ってくると寄ってしまう悪い癖。1本縦の線で釣られているようなイメージでしっかり立つ」。頭上からつるされた感覚を再確認し、フォークに流され過ぎずにバットを振れた。

負ければ首位と2ゲーム差。あとがなくなる一戦だった。外崎にとって名誉挽回の1発は、チームにとって起死回生の勝利につながった。熾烈(しれつ)を極める首位争いは、0ゲーム差で3チームが並ぶ三つどもえ。「このきつい競った中で、緊張感ある試合が続く。そこにつなげていければという思いです」。混パの行方を大きく左右する大きな1勝となった。【栗田成芳】

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