21年ドラフト4位のソフトバンク野村勇内野手(25)が、プレーオフとCSでは球団の新人で初となるアーチをかけた。2-0の7回1死走者なし。高めに浮いた左腕田嶋のカットボールを強振。逆方向の右翼席に着弾させ「手応えはバッチリ。打った瞬間でした」と会心だ。4月にプロ初本塁打をマークした左腕を再び捉え、リードを3点に広げる千金弾で、CS初のスタメン起用に応えた。

先発出場自体、9月19日の敵地オリックス戦以来、1カ月ぶり。打席感覚は「正直なかった」と話すが、非凡な対応力の高さを示した。「(凡退した)1、2打席目は、ちゃんと振れてないのに当てにいってる感じがした」。アーチを描いた3打席目は2度の空振りがあったが「自分の中では感覚がよくて。フォークに空振りしたけど『この空振りはOK』と。当てにいったらダメだけど、しっかり自分のスイングで振れていたので。なんか分からないですけど『あ、打てるな』と」。予感は的中。まさに“確信アーチ”だった。

NTT西日本からドラフト4位で入団した25歳のオールドルーキー。レギュラーシーズンでは、1939年(昭14)に“親分”こと鶴岡一人が記録して以来、83年ぶりに球団新人に並ぶ10本塁打を放った。175センチ、80キロと大柄ではないが、逆方向にスタンドインさせるパンチ力がある。抜てきが当たった藤本監督も「内容がいい。これから楽しみですね」とご満悦だ。

ベンチで控える間も「体からバットが離れないように」と、村上打撃コーチとフォームの改良を重ねてきた。「出番がきたらしっかり結果が出せるように」。左腕キラーが下克上に目をぎらつかせた。【只松憲】

▼ルーキー野村勇がCS初本塁打。プレーオフ、CSで新人の本塁打は17年1S<2>戦大山(阪神)以来5人目で、ソフトバンクでは初めて。日本シリーズで本塁打を打ったソフトバンクの新人は南海時代の52年<6>戦森下だけで、ポストシーズンでは球団70年ぶりの新人の1発だった。

◆野村勇(のむら・いさみ)1996年(平8)12月1日生まれ、兵庫県出身。垂水ファイターズで野球をはじめ、中学では硬式の神戸須磨クラブに所属。香川・藤井学園寒川、拓大を経て19年にNTT西日本へ入社。21年ドラフト4位でソフトバンク入団。趣味は文鳥の散歩とゴルフ、釣り。175センチ、80キロ。右投げ右打ち。今季推定年俸は1200万円。

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