育成の日本ハム姫野優也投手(25)が15日、支配下復帰への悲壮な覚悟を明かした。今季は先発チャンスを与えられたオープン戦で結果を出せず、背番号161のまま支配下登録期限の7月末を迎えた。再びチャンスを得るべく、参加中のフェニックスリーグでは、この日のオリックス戦(ひなたサンマリン宮崎)を含めて登板3試合連続無失点とアピール中。崖っぷちのチーム屈指の剛腕が宮崎で浮上のきっかけをつかむ。

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姫野は7カ月前の悪夢を最近、見返した。「オープン戦…マジで悔しかった。いつ見ても、あれは悔しい」。“1軍初先発”となった3月16日の西武とのオープン戦。1回3安打2四球で5失点。新庄監督に与えられた、支配下復帰へ向けた大きなチャンスをつかめなかった試合だ。

当時は、絶望感にさいなまれた。「球が速いだけで、このまま終わっちゃうんだろうなぁって思いました」。150キロ超えの直球は、チーム屈指のスピード。ただ、それだけでは抑えられない現実に、「甘くないと痛感させられた。このままじゃダメだなというのは、本当に考えさせられた1日でした」と振り返る。

外野手から投手転向2年目、育成2年目である今季も2桁背番号は取り戻せなかったが、悔しさをバネに実力を磨き続けてきた。

姫野 次、もし、何かのチャンスがあったら、もう本当に一発でつかみきらないと後がない、と思う。

再び大きなアピール機会を得るべく、魅力十分のストレートと得意なスライダー、そして改良中のフォークで「アピールするだけですよね」と、前を向く。

この日も魅力いっぱいの第1球だった。オリックス戦(ひなたサンマリン宮崎)の9回に登板し、先頭打者への初球は154キロ直球で空振りを奪い、最後はフォークで空振り三振。2人目は151キロ直球で空振り三振、最後の打者は152キロ直球で右飛に抑えた。

これで同リーグでは3試合で4回1/3を投げ、無安打無失点、無四死球。「(この結果を)継続っすよね。頑張ります」。もう1度、チャンスをたぐり寄せるため、今は必死に腕を振る。【木下大輔】

<姫野の道のり>

◆外野手でプロ入り 大阪偕星学園では投手兼外野手で、15年ドラフト8位指名を受け外野手として入団。背番号61。

◆登録変更 1年目の16年7月、右打ちから両打ちに登録を変更。高い身体能力を評価され、キャンプ中から習得に励んでいた。

◆1軍初出場 18年10月3日西武戦(札幌ドーム)で右翼守備から出場。回ってきた1打席は遊撃併殺打だった。

◆育成で再契約 20年オフに戦力外通告を受け、育成選手契約を結んだ。背番号161。

◆転向 21年6月に守備位置登録を外野手から投手に変更した。

◆実戦デビュー 21年9月7日のイースタン・リーグ巨人戦に2番手で初登板。154キロを計測するなど1回無安打無失点。

◆満塁被弾 今年3月16日西武戦(ベルーナドーム)でオープン戦初登板。先発で愛斗に満塁本塁打を浴びるなど1回5失点。

◆今季投手成績 ファームで20試合0勝1敗、防御率6・20。すべてリリーフ登板だった。