日本ハム杉谷拳士内野手(31)が28日、札幌市内の球団事務所で会見を行い、今季限りでの現役引退を発表した。会見の冒頭で「テストで入って今日まで14年間ファイターズでお世話になりました。今日新たに引退会見という言葉は使いたくありません。前進会見ということで、これからの人生を前進していきます。今まで14年間、お世話になりました。前向きな気持ちで会見したいと思います」。感極まり、言葉に詰まりながらも、杉谷らしい前向きな言葉で切り出した。

球界屈指のムードメーカーとして、チームの垣根を越えて12球団のファンから愛された。出身地に近い西武本拠地のベルーナドームでは、敵地ながら打撃練習中の場内アナウンスによる“いじり”が名物に。タイトル獲得はなくとも、内外野を守れる両打ちのユーティリティーとしてチームを支え、“球団の顔”として人気を集めた。球団公式グッズを身に着け、今季の球界を席巻した「きつねダンス」を踊った動画は、公開から4カ月で現在408万回再生を記録している。

今季は5月29日巨人戦(札幌ドーム)で勝利打点となる遊ゴロを放ち、お立ち台へ。「ファイターズは本当にこれから強くなっていくチームだと思いますし、僕も含めてミスもたくさん出てきているとは思いますけど、これからどんどん成長していく姿を温かく見守ってもらえれば」。これが、最後の本拠地でのヒーローインタビューになった。

◆杉谷拳士(すぎや・けんし)1991年(平3)2月4日、東京都出身。帝京では1年から遊撃手として活躍。甲子園3度出場。08年ドラフト6位で日本ハム入団。10年にイースタン・リーグのシーズン記録を更新する133安打をマーク。19年5月23日楽天戦では、左右両打席本塁打を達成。通算777試合、打率2割1分2厘、16本塁打、104打点。173センチ、78キロ。右投げ両打ち。

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