今オフに中日から戦力外通告を受けた平田良介外野手(34)が28日、自身のSNSを通じて引退を発表した。

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引退を選択した平田の決断に、皮肉な運命を感じてしまった。

「本当はどこでもいいので野球はやりたい。独立リーグでもいいんです」。10月末に、NPBトライアウトを受けず、現役続行へ向けて自主練習を続けるナゴヤ球場で、ぽつりと口にした。

「独身だったらいいけど、家族も養わないといけない」。妻と2人の子どもの父として責任が、決断につながった。

生粋の「野球小僧」で抜群の野球勘を披露し続けた。バンテリンドームでの右翼守備では、フェンス直撃の大飛球をめぐり、捕球姿勢を見せるフェイクプレーを見せ、二塁で走者を刺したシーンも。走塁でもひとつ先の塁を貪欲に狙った。打撃だけではなく、走塁、守備でも輝いた。

くしくも24年からファームに新球団2チームを公募する話が進んでいる。「後輩たちと一緒に切磋琢磨(せっさたくま)してやりたい。ベテランとしての経験もある。そういったところを後輩たちに伝えたい」。他球団のオファーを待つ練習後に、そんな未来を夢見ていた。

新球団新設が1年早ければ、必要とされる戦力兼指導者の最右翼だったはずだと思う。【中日担当=伊東大介】