左膝の大けがから復活し、今季は「三塁」の定位置取りを狙うソフトバンク栗原陵矢外野手(26)が12日、復活のキャンプ1号を放った。

シート打撃で、高橋礼から右翼芝生席上段まで飛ぶ1発。豪快弾に、藤本監督も「ホームランは完璧」とご満悦。新外国人ウイリアンス・アストゥディーヨ内野手(31=マーリンズ)らとのホットコーナー争いも、監督は「将来的に考えたら栗原がサードに入るのが普通」とレギュラー当確を示唆した。

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栗原のバットが、137キロの直球を完璧に捉えた。打球は右翼芝生席上段で弾んだ。高橋礼との対決。カウント3-0からのストレートを「ファウルでもいいくらい、思い切り振った。大きく体を使ってみよう。ホームラン狙ってもいいんじゃないのと思って」と狙い通り一撃で仕留め、復活アピールだ。

直前まで、不振に悩んでいた。午前の打撃練習、ランチ特打は、球の見逃し方、振り出しのタイミング、インパクトの力感…とどれも納得いくものはなく「全然良くなかった」と下を向いていた。投球に合わせるような小さなスイングに、藤本監督から「大きく打ってみたら」とアドバイスを受け、実践。一発回答で応えてみせた。石川と対決した1打席目でも、142キロの直球を右前に運んだ。

昨年開幕直後に左膝の前十字靱帯(じんたい)断裂などの大ケガを負い、シーズンを棒に振った。手術後の長いリハビリ生活を経て、今季は「三塁」への完全コンバートに備える覚悟を決めた。年明けには単身渡米し、アリゾナ州のトレーニング施設で汗を流した。

自慢の打撃に加え、守備の課題はあるものの、藤本監督は栗原の三塁当確を示唆した。この日、2安打を放ったライバルのアストゥディーヨと比較。「栗原とアストゥディーヨやったら、将来性を考えたら栗原がサードに入るのが普通」と語った。競争をあおりながらも、指揮官の頭には「サード栗原」がすでにイメージされている。

栗原自身は課題の守備を含め、オープン戦までにさらに仕上げていく。「守備はポジショニングもそうですし、いろんなことがバタバタしている状態。走者を見る、打者を見る、ポジショニングを見ることなどやることが多いので、慣れていかないと、と思う」。3番近藤、4番柳田、そして5番栗原。2023年型ホークスのクリーンアップ確定へ-。復活弾をきっかけに、栗原はさらにギアを上げていく。【佐竹英治】

○…シート打撃に登板した石川が、反省した。打者12人、34球を投げ3安打。中村晃、アストゥディーヨに連打を許すなど「まだまだ物足りない。詰めが甘い。シーズン中だと失投と言われる」と自己評価は厳しかった。改良中というカットボールの精度にも首をかしげ「いまひとつです。良かったのはケガなく投げられたこと」と苦笑いした。先発ローテーションの柱として期待される右腕だけに、キャンプ後半に向け「より実戦モードにして質を上げていきたい」と気を引き締めていた。

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