大きな拍手に包まれ、DeNA三嶋一輝投手が、ロッテとの練習試合のマウンドに上がった。

温かい視線、野手の声が耳に届く。「この光景っていうのは、これからも忘れられないと思います。すごく特別な感じで、うれしかったです」。昨年8月14日の2軍日本ハム戦以来192日ぶりの実戦。手術後1日は歩けなかったことを思えば、感無量の瞬間だった。

「三嶋ロード」を歩む。昨年8月29日、国指定の難病「黄色靱帯(じんたい)骨化症」の手術を受けた。医療界では前例のない初の術式だった。「僕が希望になれるように」と同じ病を抱える人たちに勇気や希望を与えることを使命にリハビリ。7回から登板し、1回を3者凡退に抑え、最速149キロを2度マークし、力強く復活への1歩を踏み出した。

マウンドに上がれば、投手の本能で勝負した。注目される中、初球に選択したのは120キロのカーブだった。「ただ抑えにいった」。先頭の藤岡をスライダーで見逃し三振。16球中9球が変化球で的を絞らせず、求めた結果を出した。三浦監督は「躍動感あるフォームで、一段と大人になった投球。頼もしい投手が戻ってきましたね」と復帰を心から喜んだ。【久保賢吾】

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