プロ野球独立リーグ、BCリーグの新潟は今日9日にキャンプインする。リーグ創設の07年から新潟ひと筋に歩んできた稲葉大樹内野手兼野手コーチ(38)は17年目のシーズンを迎える。コーチとして若手を鍛えながら、目指すのは独立リーグ日本一。通算950安打を放っているだけに、リーグ初の1000安打の大台も果敢に狙う。

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17年目のシーズンへ、稲葉は特別な思いで挑む。「ユニホームを着てグラウンドを駆け回るのは難しい年齢だと分かっている。最後の悪あがきじゃないけれど、稲葉大樹としてグラウンドに立つ以上は若手に負けたくない」。コーチとして若手の成長に手を貸しながら、個人のスキルアップにも手は抜けない。ベテランは若手と切磋琢磨(せっさたくま)しながら、チーム力向上も狙っている。

「恩返しと感謝の気持ちは年々、増えている。日本一を取らなければと、いい意味でのプレッシャーがある」と稲葉は言う。個人的には前人未到の1000安打へ、あと50本に迫っている。昨季は30試合に出場して76打数17安打の打率2割2分4厘。出場機会は減り、代打要員になるシーンが多くなっている。それでも大台到達に前向きだ。「正直厳しいが、数字にトライできることに感謝している」と選手としてのモチベーションにしている。

8月で39歳。「体の硬さを感じている」と毎朝のストレッチは欠かさない。筋力アップの余地はあると考え、ウエートトレーニングも積極的だ。「体の強さを求めていきたい。『落ちてきているんだろうな』ではなく…」と思考は若々しい。

「今年は(監督の)橋上さんを胴上げしたい。そのための1本を打つ」。稲葉は15年以来のリーグ優勝と、12年以来の独立リーグ日本一をひたすら目指す。チームは9日新潟で練習後、10日にキャンプ地の高知に移動。胴上げの思いを果たすための本格始動は11日からの高知キャンプからだ。【涌井幹雄】