いてもたってもいられなかった。阪神岡田彰布監督(65)が27日、“休日返上”で先発投手陣にバント指導を行った。

背番号80のユニホームをまとい、サプライズで甲子園の室内練習場に登場。阪神監督が投手指名練習に顔を出すこと自体が異例の行動で、直接指導となればさらにレアだ。

青柳らがキャッチボールを終えると、安藤投手コーチの「集合」のかけ声でフリー打撃の練習スペースに呼び寄せた。始めたのは送りバントのレッスンだった。時折笑いが起きる和やかなムードもありながら、約15分の指導が行われた。

「昨日、ぶざまなバントしとるからのお。(オープン戦で機会がなく)昨日ピッチャーのバント、初めて見たからなあ」

開幕前ラストゲームの前日26日のオリックス戦の5回無死一塁で才木が犠打に失敗して三振。21日の西武戦で西純を9番DHに入れるなど、投手を打席に立たせてきたが、送りバントのサインを出す機会がなかった。この日は才木や伊藤将らを打席に立たせ、身ぶり手ぶりで構え方などを伝授。指揮官から「一番下手くそや」と指摘された才木は「構えに問題があるんじゃないかと言われました。バントは大事。練習していくしかない」と引き締めた。

大竹によると、岡田監督は「最初からボールゾーンで構えているから、ピッチャーは投げやすい」と指摘。特に棒立ち状態の場合は、高めに投げられるとファウルになりやすいという。「ストライクゾーンをより小さくイメージして、アウトローや高めのストライクはバットを引いたらいい。バントができる球だけやればいい。3球あるから1球で決めなくちゃいけないというわけではない」など、具体的な助言が送られた。

開幕を31日に控え「9番打者」の役割を見つめ直す貴重な機会となった。オープン戦17試合で成功した犠打は11日の日本ハム戦で小幡が決めた1回のみで巨人と並び両リーグ最少タイ。結果的に12球団最多得点の72点でフィニッシュしたが、大味な野球では勝ち抜けない。岡田監督の休日返上がムダにならないように、本番では“カツ”にしっかり応えたい。【古財稜明】

◆26日のバント失敗VTR オリックスとのオープン戦(京セラドーム大阪)で1点を追う5回無死一塁。投手の才木がファウル3つでスリーバント失敗の三振。2点を追う7回無死一、二塁でも、小幡がバントを試みたが捕邪飛で送れず、拙攻を助長して敗れた。岡田監督は「やっぱバントは決めて当たり前の部分があるからな。はっきり言うて。ピッチャーなんか自分にかかってくることやからな」と苦言を呈していた。

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