高卒10年目の楽天松井裕樹投手(27)が、史上最年少で同9人目となる通算200セーブを達成した。1点リードの9回に4番手として登板。1死二、三塁のピンチを招いたが踏ん張り、無失点で切り抜けた。通算445試合出場での到達も、歴代4位のスピード記録。快挙も、喜びに浸らず、周囲を気遣った。

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松井裕の“ギャップ”には、家族さえも驚く。マウンドでは眼光鋭く立ち続け、果敢にストライクゾーンにボールを投げ込む強気な投球スタイル。ピンチをしのぐと、大きな雄たけびを上げて感情を爆発させる。だが、家族の前では違う。弟の和輝さん(25)は「しびれる1点差の場面とかあると思うんですけど、緊張とかもするみたい。『緊張した』とか、『危なかった』とか、素の面をよく言ってくれます」と明かし、笑う。

気迫が前面の“炎のストッパー”ぶりは、守護神を務めるようになって。和輝さんは「僕も聞いて意外だなと思ったぐらい。抑えでいろんな方の思いを背負って投げて、緊張が出てきたのかなと思う。先発の時はいつも楽しそうに投げている印象だった」と思い浮かべた。

兄はマメで面倒見がいい。和輝さんは習志野(千葉)から明治学院大へと進み、社会人野球のハナマウイでは都市対抗野球の出場経験もある。大会前はいつも気にかけて連絡してくれた。年末年始で帰省をすると、実家近くの河川敷でキャッチボールをする。「毎年『今年は調子いい』とか言っている。『もう仕上がってる』とか」。軽口をたたき合いながら、白球を投げ合う。

そんな柔らかな表情も、試合になると一変。内に秘めた緊張を、和輝さんでさえ見抜けなかった。この日の試合後、松井裕は「気持ちもボールも浮ついて、やっとこさで3つのアウトが取れたのでホッとしています」と吐露。気迫と正反対の“ポーカーフェース?”も兼ねそろえている。【湯本勝大】

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