広島田中広輔内野手(33)が、今季最多3万701人のマツダのファンの前で2年ぶりの1号ソロを披露した。3-1の4回1死で巨人の先発・赤星のスライダーを捉え、右翼スタンドへ。リードを3点に広げ、昨年7月28日以来の勝率5割復帰に貢献した。

中心選手としてリーグ3連覇を支えた33歳が、全力で二塁まで走った。「打ったときは感触良かったんで。でも、見ているうちに、これ、もしかしたら入らないんじゃかなと思っちゃって。最後、ギリギリ入ってくれて良かったです」と打球の行方を見届け、やっと笑顔になった。背番号2の背中を、真っ赤なスタンドが拍手で後押し。「やっぱり気持ちいいですよね。ファンの皆さんの声援はすごく力になるなと思いますね」と本拠地のファンが醸し出す雰囲気に浸った。

昨秋、指揮官として現場に戻ってきた新井貴浩監督(46)に、強い言葉で背中を押された。「こんなもんじゃないだろ? って。お前に期待しているからな、って(昨年の)秋のキャンプの前に、彼には直接言いました」と新井監督。走攻守で新生カープの力になってくれ、という熱望は、田中にとって希望になった。

「すごくモヤモヤしたシーズンが続いた中で、やっぱり一緒にやられてた新井さんが帰って来て。外で見ているときから気にかけてくれていたので。『俺はまだ戦力で見ているぞ』ってハッキリ面と向かって、顔を見て言ってくれたので、もうやるぞって、今年は。何がなんでも、どんな状況でもやるぞと決めて入ったので、1年間しっかりそれを続けられるようにやりたいです」。自分で立てた誓いを、全力で果たしている。

2年ぶりのアーチを見届けた監督は「ナイスホームランでしたね。2シーズンぶりですか? ナイスホームランですね。素晴らしかったと思います。すごくうれしかったです」と喜んだ。選手1人1人を大切にする。監督就任以来の思いがこの日、チームにも個人にも好結果で実を結んだ。【堀まどか】

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