ソフトバンクが今季初のサヨナラ勝ちを飾った。

3-3の延長10回に栗原陵矢外野手(26)が左犠飛で試合を決めた。頼れる4番は2安打3打点と活躍。直前には1番周東佑京内野手(27)が足でチャンスを演出した。チームは2連勝で今季最多タイの貯金5。首位の座をがっちりキープした。

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今季初の延長戦は、4番が終止符を打った。10回無死満塁で栗原がサヨナラの左犠飛。昨季は左膝の大けがでシーズンを棒に振った男が、仲間からもみくちゃにされた。「緊張しました! うれしいです」。早くも4度目の決勝打。堂々とお立ち台に上がった。

日本ハム8番手、ロドリゲスの初球スライダーを確実に外野へ飛ばした。春季キャンプでは長谷川1軍打撃コーチと、犠飛を打つ練習を反復。常に最低限の仕事を全うするためにバットを振ってきた。「1死三塁で点を取るということを藤本監督も去年から言っている。確実に1点を取るうえでは必要かなと」。過去を振り返っても「新しい練習でした」と話す特訓が、ここ一番で実った。

この日は3回の中前適時打、5回の右翼越え適時二塁打と合わせて2安打3打点。3本塁打、13打点はリーグ2冠の好調ぶりだが、「打点は自分ひとりのものじゃない。つないでいる先輩方がたくさんいる。感謝しながらやりたい」と本人は謙遜した。2番近藤、3番柳田の後を打つポイントゲッター。藤本監督も「ここまで4番の働きは十分にしてくれている」とうなずいた。

陰の立役者は周東だった。韋駄天(いだてん)は1試合自己最多タイで、2年ぶり3度目となる1試合3盗塁。延長10回は先頭で中前打を放ち、直後に二盗を仕掛けて栗原のサヨナラ犠飛をお膳立てした。「疲れていたので、何も考えないで本能で行きました」。WBCでも発揮した「世界の足」を存分に披露。栗原が「打った瞬間は、三塁ランナーが周東さんだったので大丈夫」と話したのもうなずける。

藤本監督は「周東の足は脅威ですね。あの速さはね…」と苦笑いしながらたたえた。今季初のサヨナラ勝利で、チームは2連勝。本拠地に限ると4戦4勝だ。このまま一気に突っ走る。【只松憲】