西武高橋光成投手(26)が自己最速157キロを投げたのは9回2死、最後の1球だった。元チームメートのオリックス森を見逃し三振にし、約2年半ぶりの完投勝利。投げきった125球に「疲れました」と笑いながら「157キロはすごくうれしい。最後まで久々に投げきれましたし、まだまだ行けるなって」。メジャースカウト陣も視察する中、すごみを示した。

わずか2~3秒で切り替えた。4回、杉本に先制2ランを浴びた。内角球が少し甘かった。左翼席中段まで4秒足らずの豪快ライナー。打球の行方と杉本に視線が集中する陰で、高橋は早かった。着弾直前にすでに、マウンド上で球審に次のボールを求め、グラブを構えていた。「結果はそんな気にしないで、もう打たれてしまったので」。

次打者に3球種を使って3球三振に仕留め、また勢いに乗った。捕手の柘植が言う。「どんどん上がってくる感じなので。いつもあとの方が良くなるイメージです。定まってくる感じがあります」。引きずらないメンタル、緊迫の9回まで託せるだけの球威。エースの力量を存分に見せた。

オリックス山本との投げ合いも「やっぱり気持ちが入りました」とアドレナリンを高めた。熱投した上で勝ったのが大きい。山川、源田が不在ながら、これで首位タイに浮上した。23日先発のエンスには「やればできる」「言い訳しない」という日本語を習得させたエース兼選手会長。まさしく、そんな戦いが西武を強くしている。【金子真仁】