楽天岸孝之投手(38)が史上51人目の通算150勝に到達した。ロッテ打線を8回6安打1失点に抑え、今季登板4試合目で初勝利(1敗)を挙げた。

「最後まで投げたかったですけど、良かったです勝ったんで。(バッテリーを組んだ炭谷と)100勝、150勝と、まさか銀と組んで達成できると思ってなかったので、うれしいです」と笑顔を見せた。地元仙台での勝利に「最高です」と言うと、球場中に大きな声援が沸き起こった。

雪辱のマウンドだった。「前回のやられっぷりは頭に残ってますからね。何とか、ああいう形にだけはならないようにと思ってやります」。脳裏にこびり付いているのは、今季初登板だった4月9日のZOZOマリン。7安打6失点と打ち込まれ、2回でKOされた。

前回とは条件が違う。ホームグラウンドで、今季初のカード頭。過去3試合はデーゲームだったが、ナイターになった。「ゆっくり眠れる。寝る時間をあんまり気にしなくていいのがいい」。コンディションも整えて、本拠地の夜に臨んだ。

丁寧に低めに集めた。1回2死一、三塁。前回対戦で2打数2安打3打点とやられた安田を、143キロの直球で左飛に打ち取って立ち上がりのピンチをしのいだ。3回2死一、二塁ではチェンジアップ、カーブの後の直球で4番井上を空振り三振に切った。

前回、前々回は勝利投手の権利を手にして降板しながら、追いつかれた。昨季9月11日のロッテ戦で通算150勝に王手をかけてから、年をまたいで5試合目。ロースコアで粘り、終盤までマウンドを守った。

▽楽天石井監督(現役時代から付き合いの長い岸の150勝に)「去年からプレゼント用意してたんですけど。彼は細いけどたくましい。同志ですし、親友でもある。僕が(現役を)やめた年齢くらいで、まだ一線で頑張っている姿を見ると、リスペクトです」

▼通算150勝=岸(楽天) 2日のロッテ3回戦(楽天モバイルパーク)で今季初勝利を挙げて達成。プロ野球51人目。初勝利は西武時代の07年4月6日オリックス1回戦(京セラドーム大阪)。38歳4カ月での達成は(1)和田毅=41歳7カ月(2)佐藤義則=39歳7カ月(3)三浦大輔=38歳6カ月に次ぎ、高橋直樹=38歳4カ月に並ぶ年長4位。ロッテ戦は通算30勝目となり、日本ハム戦の26勝を上回る最多勝利カードでマークした。現役のNPB通算150勝以上は岸の他に石川雅規(ヤクルト)183勝、涌井秀章(中日)155勝、和田毅(ソフトバンク)152勝の3人。

◆岸孝之(きし・たかゆき)1984年(昭59)12月4日、宮城県生まれ。名取北-東北学院大を経て06年大学・社会人ドラフト希望枠で西武に入団。1年目の07年、西武の新人では松坂以来となる2ケタ勝利(11勝7敗)。08年巨人との日本シリーズでMVPを獲得。14年ロッテ戦で史上78人目のノーヒットノーランを達成した。プロ通算150勝105敗。180センチ、77キロ。右投げ右打ち。今季推定年俸は2億5000万円。