あまりのうれしさに、日本ハム新庄剛志監督(51)が“昇天ポーズ”? いや、違う。逆転の瞬間は「全然、覚えてない。興奮もしていたし」と頭の中は大混乱中。「今日は寝られない! 気持ち良すぎて!」。手に汗握る終盤の逆転劇で、監督2年目にして開幕カード以外では初の最下位脱出に成功した。

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「こどもの日」に“新庄チルドレン”が輝いた。1-2の8回だ。先頭の五十幡がこの日、3本目の安打で突破口を開くと、すかさず二盗を決めてチャンスメーク。万波の2点適時二塁打に細川のスクイズと、この回、一挙4点の起点となった。両リーグトップの10盗塁目を決め、プロ3年目でようやく自身初の2桁盗塁に到達した五十幡は「ほっとしている」と、ひと安心だ。

中学時代、陸上の短距離日本一を誇った五十幡の脚力にほれ込んだ新庄監督は、就任早々、チーム躍進キーマンに挙げ、一流に育てると決意した。

新庄監督 今年はキャンプから「必ず成長するし、日本を代表する1番バッターになって、盗塁王は必ず取ると思うし。信じて使う」ということを言っていた。その期待に応えてくれている。これから、さらにあり得ないようなプレーをどんどんしてくれると思う。

本拠地を埋めた2万6342人の前で、ドラマチックな2連勝。何より子どもたちの前で勝てたことが、うれしくてたまらない。「それが一番うれしい。いい試合を見せられたのは、選手の成長があったからこそ」。興奮はいつまでも冷めなかった。【中島宙恵】

■万波2戦連続V打

万波中正が2試合連続の決勝打を放った。同点に追いついた直後の8回1死一、三塁、楽天伊藤茉から右中間へ2点適時二塁打。「詰まりながらでしたが、犠牲フライでもいいので、1点入れば何でもいいと思っていた。結果、越えてくれて最高でした」。前日4日の西武戦で終盤7回に決勝ソロを放っており、チームトップの20打点に伸ばした。

■細川決死スクイズ

途中出場の細川凌平が、勝負どころでスクイズを決め、大きな5点目をたたき出した。7回に代走で出場。2点差をつけた直後の8回1死三塁で最初の打席に立つと、1ボールからの2球目を投前に転がし、殊勲の万波を生還させた。今季初打点を挙げ「あの場面で、自分の役割を考えれば何かしらサインは出ると思っていた。とにかく死ぬ気で前に転がした」と話した。

■古川今季初打席初打点

古川裕大が今季初打席で貴重な打点を稼いだ。2点を追う7回1死三塁で代打に立ち、左犠飛で1点を引き出し、8回の逆転劇を演出した。2日に1軍昇格も、ここまで出番がなく「チャンスは少ない。とにかく結果にこだわった。内野も後ろにいたので、最悪ゴロでもかえせると思っていたが、ああいう形になって良かった」と振り返った。

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