ロッテ福田秀平外野手(34)の今季初出場初先発が打線を勢いづけた。「2番、指名打者、ふくだ、しゅうへ~い」の場内アナウンス。3年前に右肩甲骨を骨折し、昨秋の手術後も周囲の痛みが消えない苦労を知る2万8960人の大歓声と拍手に包まれた。初回に日本ハム先発鈴木のシンカーを捉えて中前安打。「2軍でコーチと(痛い)肩に合った打撃を模索しながら、スタイルを変えた今季なので、まず1本打てて良かった」。力が入らず可動域が小さくても強く振れる新たな打撃フォームで帰ってきた。

3回の第2打席でも中前安打を放ち、二盗も決めた。「肩甲を骨折してから3年が立ちますけれど、薬を飲んだり注射うったり。長いリハビリ期間でもダメで、手術でもダメで、何度も心が折れそうになって、もうダメだと何度も思ったんです」と吐露。「そのたびに、ドクターやトレーナーの方、家族とか身近な人は支えてくれたので、今日、1軍でヒットを打つことが出来てすごく良かった」と周囲の感謝を言葉にすると、目を潤ませた。

「正直なところ、今日(マリンの)グラウンドに立つのが怖かったんです」。19年11月、4年4億8000万円プラス出来高(金額は推定)でソフトバンクからFA入団した。開幕スタメン出場したが、開幕直前に死球を受けた右肩に骨折が判明。痛みを抱えながらプレーは続けてきたが、他の箇所を含めて、ケガが相次いだ。期待を受けた中で、チームに貢献出来ないもどかしさやふがいなさが募った。

今季は2軍で2割8分8厘とアピールしてきた打撃が認められ、1軍昇格。喜び以上に、不安な気持ちも大きかった。「ここに来て3年間、何も出来ていないので、ファンの方にすごく残念な思いをさせてしまっている。SNSなどで叱咤(しった)激励もたくさん受けましたし、応援が今年からあるけれど応援してもらえるのかなと」。だが、ファンからは大歓声で迎えられた。3年前につくられ、コロナ禍によって封印されてきた応援歌も披露された。「実際に声援を受けて最高でしたし、もっともっとこの声援を背に受けて野球がしたいと思いました。活躍して貢献出来るように頑張っていきたい」。心が大きく前を向けた、スタジアムの雰囲気に感謝した。

角中勝也外野手(36)が2回に右越え先制3ラン。8回には中村奨吾内野手(31)、岡大海外野手(31)の2者連続弾など、同じ30代の“オーバー30弾”3発で2位に浮上した。首位ソフトバンクを0・5差で追う。吉井理人監督(58)も「福田なんかは2軍が長かったんですけれど、しっかり調整してくれたし、おじさんたちが頑張ってくれて助かりました」と賛辞を送った。【鎌田直秀】

▽ロッテ沢村(7回を抑え今季4勝目で復帰後初のマリンお立ち台)「他の球場でヒーローのチャンスがあったんですけれど1発目はマリンだと思って断ってきたので良かった。(髪を金から銀に変えたことには)特にないです」

▽ロッテ角中(2回に右越え先制3ラン)「思いきって上からボールをつぶす感覚で振りにいった結果、ホームランになってくれた。インサイドのボールで詰まっていたのですが、力で持っていきました」

▽ロッテ中村奨(8回に左越え6号ソロ)「初球から思いきって振っていこうと思った結果です。また大阪でも頑張っていきます」

▽ロッテ岡(8回に2者連続となる3号ソロ)「奨吾が前でホームランを打ったので、その勢いに乗って打つことが出来て良かった」

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