パパ、やっと勝ったよ~。ロッテ美馬学投手(36)が、7試合目の登板でようやく今季初勝利を挙げた。

初回に不運な当たりの本塁打を日本ハム清宮に許したが、3回以降は1人も走者を出さない完全投球。7回3安打2失点で、チーム4連勝と6月16日以来の貯金10を導いた。開幕ローテ入りも4連敗を喫し、7月8日のシーズン初白星はプロ13年目で自身最遅。妻アンナさんの第2子妊娠を公表したばかりで、誕生前に結果を出し、安堵(あんど)の表情を浮かべた。

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美馬が子供のように無邪気な表情で喜んだ。9回を締めた益田と抱き合い、リードした田村も熱く抱き締めて感謝した。「まじで、ようやくです」。7回91球でマウンドを降りて以降も、救援陣や打者陣に向けてベンチ最前列から、願うように大きな声を送った。

新たな命に勝利の報告をして誕生を迎えたい気持ちが、マウンドでの力になった。妻アンナさんのおなかには、第2子が宿っている。安定期に入った6月18日に公表し、予定日は8月下旬から9月上旬。「生まれてくるまでには勝ちたかったので…。なんとかそうなって良かった」。肘と肩にアイシングをしながら、パパの顔に戻った。「本当に楽しみなことなので、自分も良い状況の時に迎えてあげたいので、後半戦はしっかり結果を出したい」。目尻も下がった。

昨季はチーム最多の10勝を挙げ、今季も開幕ローテ入りしたが、2度の2軍調整期間を強いられるなどもがいた。それでも自身の苦しさは“仕事場”だけにとどめた。当時は「家族のことを考えれば、家に早く帰れるとプラスに捉えて。自分の気持ちも、家族のおかげでプラスになっています」と奮い立たせた。3歳の長男と過ごす時間を大切にし、妻の負担も軽減し、パパとベテラン投手の“二刀流”を果たしてきた。

初回、清宮のセンター後方への大飛球。俊足を飛ばして懸命にジャンプした藤原のグラブや、フェンスに当たったかのような不運な本塁打を喫した。「最初のホームランで流れが悪いなと思ったけれど、何とか粘れた」。3回以降はフォークやスライダーを低めに集め、15人を完全投球だ。11年から毎年勝利を重ねてきたが、もっとも遅いシーズン初勝利。「ずっと裏切り続けてきたので、期待に応える投球を続けていきたい」。家族とチームのために。【鎌田直秀】

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