楽天太田の大飛球は確かに、左翼ペイトンのグラブにダイレクトに入った。7回2死二塁。ピンチを脱した。

それなのに、マウンド上の西武今井達也投手(25)が固まる。3、4、5秒と動かない。6秒たって凝固が解けると、初動は鋭かった。マウンドの砂を蹴り上げた。

「まぁ、打った音というか芯で捉えられた感触が、自分としてなんかこう、悔しいというか。納得いかない部分があったので」

直前の7回1死、島内にソロを浴び、完封勝利を逃した。21年以来、楽天戦では久しぶりの失点だ。

「ゼロが続いていたので楽天戦は。ホームランで取られるかと」

それでも8回、9回と3人ずつで抑え、今季7勝目を挙げた。

5月24日のロッテ戦(ZOZOマリン)で3回途中8失点でKOされた。打たれるたび、首をかしげていた。何度もかしげた。今はちょっと違う。

「なるべく点を取られたくはないですけれど、取られたことを引きずって投げることはなくなってきたので。それが失点少なくいける要因かなと」

楽天戦はこれで8連勝になった。「勝ち負けつかず」がない、8戦8勝だ。

「名前が上がった時に相手が嫌がる存在。その第一印象って、すごく大事だなと思っているので」

逆転CSをともに目指す立場の楽天に、心理的に優位に立てる先発投手がいるのは大きい。残り40試合。6連戦も多い。

「このまま中6で回れば、また再来週も仙台ってことになるので。バッテリーで同じミスを繰り返さないように行ければ」

ローテーション通りならば8月30日、楽天モバイルパーク。ほえて笑いたい。【金子真仁】