仙台育英出身で慶大OBの日本ハム郡司裕也捕手(25)が、プロ4年目で初の1試合2本塁打を記録した。早大OBの楽天・早川隆久投手(25)から、1回に2ラン、6回にソロをいずれも左翼へ運んだ。フルスイングで“早慶戦”に完勝し「甲子園決勝の両校に1本ずつということで」。夏の甲子園決勝に進んだ縁のある仙台育英と慶応の高校球児へ、ド派手な祝砲をプレゼントした。

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フルスイングで飛ばした2つの打球は、いずれも左翼後方へ“ぐんぐん”伸びた。日本ハム郡司は1回、楽天早川のカットボールをかち上げ、左翼後方のブルペンへ2ラン。6回は「めちゃくちゃ狙ってました」と、144キロを引っ張った。思い切りのいい打撃に、新庄監督も「何が素晴らしいって1発で仕留めるところが素晴らしい」と大絶賛。夏の甲子園決勝へ進んだ縁がある2校へ「うまくエールを伝えられた」と、ありったけの思いを込めた。

マウンドには楽天の左腕、早川がいた。郡司は慶大、早川は早大出身。郡司が1学年上で、同じ時代に東京6大学でしのぎを削った。19年秋季リーグの早慶戦では、郡司が早川から2打席連続本塁打を放って優勝。「相性はいいと思っていた」というが“プロ初対戦”となった今年3月のファーム交流戦では2三振で完敗。早川に「過去の栄光に浸らないでください。郡司さん、あれは過去の話です(笑い)」と挑発された。「早慶戦で負けるわけにはいきません。やり返してやりました」と郡司。公式戦初対戦は3打数2本塁打3打点と圧勝だった。

プロ4年目で初の1試合2発は「甲子園決勝に進んだ両校に、1本ずつ」。1本は母校の仙台育英に。もう1本は兄の母校であり、過去に進学を目指しながら不合格だった慶応への“エール”だ。「仙台育英は東北の強さを見せて欲しいし、慶応は新しい高校野球の形を見せている。実質、これ(決勝)は郡司対郡司(笑い)。どっちが勝っても郡司が優勝みたいなところがあるので、どっちも応援してあげて下さい」。本拠地のお立ち台で、ペコリと頭を下げた。【中島宙恵】

▽日本ハム奈良間(5試合連続安打も5回にバント失敗)「ヒットを打てたことよりも、チームとしての打撃ができなかったことの方が悔しい」