ロッテの石川慎吾外野手(30)が、4-4で迎えた7回2死二塁で決勝右前適時打を放ち、本拠地ZOZOマリンで初のお立ち台に上がった。

7月に巨人からトレード移籍。同6日の西武戦(東京ドーム)で代打でデビューし、いきなり中前安打を放つ活躍を見せた。8日も古巣日本ハム相手に中前打、初スタメンとなった9日の同戦の第1打席でも中越え二塁打と快音が止まらない。7月は31打数16安打の打率5割1分6厘、4打点と無双状態。だが、8月に入ると24日の2安打1打点を含めても22打数5安打で2割2分7厘、1打点と苦戦している部分もある。

93年に大阪・堺市に生まれ育ち、東大阪大柏原から11年ドラフト3位で日本ハム入りした。16年オフにトレードで巨人に移籍。巨人では262試合に出場してきたが、今季は開幕から2軍生活の屈辱も味わった。そんな中での新天地だ。

殊勲の決勝タイムリーで逆転勝利を引き寄せ、右翼席のファンから「シンゴ、シンゴ、シンゴ、シンゴ、シンゴ、シンゴ、シンゴ、シンゴ」と大歓声を浴びてベンチ裏に引きあげた直後、石川慎が野球観、人生観について語った。

「ロッテのユニホームを着てから、ロッテのために何が出来るかを日々考えて、スタメンの時はスタメンのやることがありますし、スタメンじゃない時は途中からどういう場面でいくのかしっかり準備して。今日はたまたまこういう結果が出ましたけれど、何でこういう結果が生まれたのかというところを踏み込んでいって糧にしないと、日々生きている意味が薄くなると思うので。ただ『うれしい』『やった~』じゃなくて、『何で?』というふうに考えるようにしています。ロッテから新しいものを吸収出来るように、人として成長出来るように、やっていきたいと思います」

新応援歌への感謝の言葉も口にした。1軍の試合に出られない悔しさも味わってきたからこその信念もあった。

「苦しい日々が多かったですけれど、ファンの皆さまの前で野球が出来て、ファンの皆さまに声援をもらって、僕は幸せものだと思う。1軍の舞台で、大勢のファンの皆さまの前で野球が出来ていることが4月、5月の時期には考えられないことで、そこにまず感謝。当たり前じゃないと思いながらやっていますね。これに、慣れたくないんです」

日本ハム、巨人に対しても誇り、敬意を持ってきた。それはロッテでも同じ。最後に、ロッテの魅力を記者が問うと、こう答えた。

「すべてが良いと思う。ジャイアンツもハムもすべて。でも、今いるチームが一番だと思ってやるのが当たり前だと思うし、チームのために、この監督のためにと思って。そういうところじゃないですかね」

ロッテのため、吉井監督のため、ファンのため-。正直、投手成績や打撃成績など、パ・リーグの中で突出しているわけではない。それでも2位につけて優勝を争う位置にいる。今季のロッテの強さの根源、神髄を「シンゴ」が明かしてくれた。

25日からは、8・5ゲーム差の首位オリックスとの3連戦が始まる。【鎌田直秀】

【関連記事】ロッテニュース一覧