和製ライアンと呼ばれ、プロ11年目で大台に到達した。ヤクルト小川泰弘投手(33)が通算100勝を達成。史上142人目で球団では11年の石川雅規以来6人目となった。

左膝が胸につくほど足を上げる代名詞の投球フォームで250試合目。母弘子さんら親族5人が見守る中ついに、たどり着いた。7回4安打1失点と好投しチームトップの8勝。打撃でも大活躍。7回2死満塁で走者一掃の中越え二塁打を放ち、試合をものにした。

大学3年時に出会い、現在のフォームの礎となったノーラン・ライアン氏の本は今も本棚にある。「自分が『ライアン』になった本。それでプロに入ったわけですから感謝もある」。その代名詞をやめたことがある。19年のキャンプ。下半身への負担軽減と制球力アップを目的に、足を大きく上げない形に。球筋は変わらなかったが打者のタイミングをずらす持ち味が消えた。「ちょっとのところでバッターは打ちやすくなる。プロだからごまかせない」と開幕前に元に戻した。

「100勝は通過点」と常々言う。追いかけるのは185勝の石川の背中だ。「ボールが速くなくても勝てることを証明されている。自分もそこを頑張っていきたい。毎年の積み重ねで、そこまで行きたい」。ライアンの左足はこれからも大きく踏み出す。その未来を目指して。【三須一紀】

▼通算100勝=小川(ヤクルト) 9日のDeNA20回戦(横浜)で今季8勝目を挙げて達成。プロ野球142人目。初勝利は13年4月3日の広島2回戦(マツダスタジアム)。ヤクルトでは金田353勝、松岡191勝、石川185勝、村田118勝、尾花112勝に次いで6人目。通算250試合目で到達は、54年金田の250試合に並ぶ球団最速。

▽ヤクルト中村(前日に左ほおに死球を受け病院に行ったが、8回守備から出場)「骨に異常なく打撲。スタメンで行きたかったが監督が勘弁してくれと。痛さはあるがプレーは問題ない。(同い年の小川の100勝に)まだまだ、お互いこれからと話した」