珍しく、感情をあらわにした。巨人坂本勇人内野手(34)が1点リードの5回1死三塁、DeNAのエース今永の甘く入った直球を見逃さなかった。

ぐんぐん伸びる打球を左翼席へ見届けた一、二塁間、右手を振りかざすと同時に、自然とほえた。「チャンスにいいバッティングができたっていうのは、うれしいですね」というのは本音。本塁で迎え「ナイスバッティング」と頭をポンと祝福したのは長野だった。

3位を争うDeNAと直接対決3番勝負。負けた時点で自力CS消滅の危機に立たされて迎えた第1戦、切り開いたのが1番長野だった。5回先頭の打席、三塁線を突く鋭い打球で内野安打。三塁宮崎の悪送球を誘い二塁へ進むと、門脇の犠打で三塁へ。「3番サード坂本」がコールされ、横浜スタジアムの左翼スタンドからチャンステーマが鳴り響く中、坂本は1度バットの芯に目を向けた。カウント1-1。その芯でとらえた1発は「サカチョー」でつかんだチャンスだった。

風景がいつもと少しだけ違った。同球場で三塁では初スタメン。4回1死一、二塁、宮崎の打球をグラブに収めた。三塁ベースを踏んで封殺すると一塁送球し併殺。「ジャッジメントとしては良かった。日々、勉強しています」。定位置が変わっても飽くなき向上心は変わらないから、ベンチに戻る際も自然と笑みがこぼれた。

王手をかけていた史上49人目となる通算1000打点を達成すると、9回にもダメ押しの3ランを放ち1人5打点の活躍。勝ってもなお、DeNAと2ゲーム差、残り6試合。負ければ自力CS消滅の崖っぷちには変わりない。「残り少ないんで、こういう1本が打てるようにやっていきたい」。殊勲打とは裏腹に、落ち着き払った言葉で決意を込めた。【栗田成芳】

○…岡本和が足で先制点をもぎとった。4回1死一、三塁、ブリンソンの浅い中飛に三塁からタッチアップ。送球がやや三塁側にそれたのを察知し、体をくねらせ、タッチをかわした。DeNA側からのリクエストも判定は変わらず。DeNA戦は打率4割3厘、2本塁打、15打点となったブリンソンからも「岡本(和)がよく走ってくれて、うまくスライディングしてくれた」と感謝された。

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