<ロッテ5-0楽天>◇10日◇楽天モバイルパーク

ロッテ小島和哉投手(27)が7回無失点の好投を見せ、チームのCS進出とシーズン2位、自身の今季10勝を確定させた。

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小島和哉は忍耐の青年だ。

「僕的に、野球って誰かのためにやるものなんです。それがチームメートのためでもあっても、ファンのためでも、家族のためでもいいんです。その方が頑張れるタイプ」

そうまで言う。自分の感情はいつも割と後回し。昔からずっとそうだ。小島本人が「うっすらと覚えてるくらいかな~」と回想するのは学生時代のこと。“甲子園優勝投手”仲間でもある西武高橋光成の群馬・沼田の自宅に遊びに行った。

避暑で有名な尾瀬にもほど近い高橋の地元。「駅から光成の家まで、なんかすごく遠かったなって」。高橋の祖父が営むりんご園に寄る時間はなかったものの、大自然を満喫。一家と食事し、近くの老神温泉に浸かりに行った。

高橋の父義行さん(51)が懐かしそうに振り返る。

「あの子、すごいんですよ。あの時、本当にたまたま露天風呂がどこか調子が悪かったみたいで、水に感じるくらいの超ぬるま湯。でもせっかく入っちゃったしと思って、こっちがずっと入ってたら、小島君、私が出るまで出ないんですよ」

小島にそんなエピソードを確認すると「えっ、温泉でそんなことありましたっけ?」とハテナの表情。相手の優しい気持ちをありがたく受け入れる-。当たり前のことのように相手を尊重し、敬意を示すことができるのが左腕の人柄だ。

超ぬるま湯からすぐに「出まーす」と笑った高橋に張り合うように、付き合いを重ねながら力量を高めてきた。「光成、さっきもちょっと話しましたよ」とうれしそうに話したのは今年9月半ば、ベルーナドームでのこと。

「ずっとすごい成績残してるんで。負けられないなと思って僕はやってます。ライバルというか向こうは思ってないかもしれないですけどね」

近年はシーズン終盤、何度も悔しさを味わってきた仙台の地。逃げられない勝負の夜、走者を出しても耐えて耐えての真骨頂で、ついに。誰かのためになれたことがうれしい。「よっしゃー!」と何度もほえていた。【金子真仁】

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