ぶっつけ本番の不安が、いきなり現実となった。

右肘炎症のため、シーズン最終盤に戦線離脱していたロッテ先発種市篤暉が、1回1死一塁で森に右翼へ先制2ランを献上した。チームに合流した20日には「CSファイナルを目指してリハビリしていた」と明かしたように約10日前に投球練習を再開。必死に状態を上げて間に合わせた23日ぶりの登板だったが、実戦勘を取り戻す前に捉えられてしまった。

故障明けの右腕はショートスターターとして3回2失点、54球で降板した。球団を通じて「ここ数試合、中継ぎの登板が多く苦しい中で3イニングしか投げることが出来ず、申し訳ないです」とコメントしたが、首脳陣も無理をさせるつもりはなかったはずだ。「負けられない試合で先に向こうに流れを渡してしまったことも反省点です」と乗り切りたかった立ち上がりだけが悔やまれた。

打線はレギュラーシーズン中から苦戦した宮城に抑え込まれた。村田打撃コーチは試合前に宮城の特長について「バッターが狙っているボール以外を投げるのが、すごく上手。その辺の観察力がすごい高いピッチャーなので、そこを悟られないように入らないといけない。そこが難しい。悟られやすいバッターばかりなので」と話したが、対策を立てて臨んでも、懸念通りに凡退が続いた。

6回まで投げた宮城から3ボールまで粘れた打者は誰ひとり、いなかった。テンポ、間合い、制球。どれも完璧な左腕から6回に先頭の荻野が二塁打で初めてチャンスメークも後続が凡退。その裏に3番手の森が3点目を失った。勝たなければいけない試合にベンチ入りさせた佐々木朗を起用するタイミングも見いだせないまま、3連覇のリーグ王者の試合運びに翻弄(ほんろう)された。【木下大輔】

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