阪神は25日、球団OBで今季は女子チームの「阪神タイガースWomen」の監督を務める上本博紀氏(37)が、コーチに就任すると発表した。1、2軍や担当など具体的な肩書や背番号は未定で、日本シリーズ終了後に発表される見通しだが、野手コーチとしてさっそく11月1日から始まる高知・安芸市での秋季キャンプに参加する。

この日の午前に西宮市内で就任会見を行い、「まずは、大事な時期にありがとうございます。私はいつもそうなんですけど、不安とか緊張感とかでいっぱいです。女子野球を離れるさみしさみたいなものも出てきています。ドラフトから指名していただいて、お世話になったタイガースのために、と気持ちはずっと持ってやってきているので、そこは変わらずタイガースのためにっていう気持ちです」と所信表明した。

08年ドラフト3位で阪神に入団。14年に選手会長に就任し、16年まで務めた。プロ野球選手としては小柄ながら長打力も併せ持つ内野手として存在感を発揮。規定打席にも3度到達した。

引退後は、子供たちへの野球振興のために設立されたタイガースアカデミーのコーチに就任。22年は監督として野球少年たちを率い「NPB12球団ジュニアトーナメント」で初優勝に導いた。「阪神タイガースWomen」の監督を務めた23年は、10月の全日本女子硬式野球選手権大会で西武ライオンズレディースを破り、初優勝。今度は女子選手たちを率いて日本一に輝いた。

「選手の頑張りだったり裏方さんの支えがあって優勝はできたんですけど、監督として負けた時とか、選手が悔しがって泣いている姿の印象が強いですから。これからも勝負事なんで、そういった時もありますけど、選手が喜んでいる姿とか、そういったことを経験させてあげられるようにサポートしていきたいと思っています」とカテゴリーこそ違うが、指導経験を生かすつもりだ。「選手全員、年齢は下ですけど、敬意を持って接したい」と力を込めた。

早大の先輩でもある岡田監督からは、電話で「一緒にユニホーム着て、一緒に頑張ろう」と言葉をもらった。「特に岡田監督っていうのもあって、ちょっと背筋が伸びたとこがあります」と表情を引き締めた。

会見に同席した嶌村球団本部長は「まだシリーズが残っているし、戦いが残っているので。組閣のどうのこうのはシリーズ後に速やかに考えてやっていきます」と説明。上本氏の人柄について「情熱とか熱さとか、選手に対してね。アカデミーでも小さい子に教える時に、本気度というか、真剣さというか、向き合うことができる人物ですよね。コーチとしては僕は一番大事な要素だと思っています。頑張ってもらいたいというところが彼にはある」と期待を込めた。

◆上本博紀(うえもと・ひろき)1986年(昭61)7月4日生まれ、広島県出身。広陵では甲子園に春夏通じて4度出場し、2年春には優勝を経験。早大に進み通算109安打を放ち、4年時には主将に就任。08年ドラフト3位で阪神に入団。14年に選手会長に就任し16年まで務めた。規定打席に3度到達したほか、長打力も併せ持つ内野手として存在感を示した。プロ通算698試合に出場し522安打、30本塁打、161打点、94盗塁、79犠打、打率2割6分5厘。現役時代は173センチ、66キロ。右投げ右打ち。

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