“久イズム”が、早速注入された。日本ハムの秋季キャンプが1日、初めてエスコンフィールドで始まった。4500人の観衆が見守る中、新任の武田久投手コーチ(45)は、ブルペン入りした生田目、鈴木に直接、声をかけながら指導した。

   ◇   ◇   ◇

懐かしい顔が帰ってきた。17年に日本ハムを離れてから6年ぶりのユニホーム。当時とはデザインが変わり、武田コーチは「違和感はないですけど似合っているかどうかは自信ないです」と苦笑い。それでも、5度のリーグ優勝含む黄金期を支えた鉄腕の存在感は抜群だ。エスコンフィールドの右翼側ブルペンに入り生田目、鈴木の2投手の投球を見つめる姿に、見学に来たファンも「久さんだ」と、ざわついた。

いい部分は褒めて自信をつけさせる。日本通運の投手兼コーチ時代に2年間指導した生田目から「右(打者)へのフォークが苦手です」と課題を伝えられると、自ら右打席に立ってチェック。親指を突き上げ「ぜんぜん使える。使ってけよ」。その言葉に生田目は「気持ちが上がりました。久さんは的確なアドバイスをくれるんで。ちょっと成長したかな、というのはあります」と感謝した。

1つ軸になる考えがある。「野球ってどんどんストライク投げていかないと試合も進んでいかないし。打たれながら覚えていく。いいとこ狙いすぎてもバッターは振らないじゃないですか。もっとアバウトというかゾーンで攻めていいんじゃない? っていうのはあります」。そうなるために土台となるのが、気持ちだ。「自信を持って投げられるように。勇気を持っていくしかない場面もあるので」。長所を見定め、前向きな声かけで背中を押していく。

「明日は多分ピッチャーの人数も増えると思うので、基本は一通り投げているのを見てみたい」。“久塾”の本講義はこれから。現役時代同様、強気の投球術を植え付け、守り勝てるチームに磨き上げていく。【永野高輔】