涙の逆転負けだ。中嶋オリックスが接戦を落として窮地に追い込まれた。2点リードの8回に登板した山崎颯一郎投手(25)が、1死しか奪えずに3失点。さらに3日連続のマウンドに上がった宇田川優希投手(24)は打ち込まれて目に涙を浮かべた。チームが誇る剛速球右腕コンビが返り討ちにあうショッキングな敗戦。4日の第6戦からの本拠地・京セラドーム大阪でやり返す。

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マウンドを降りた宇田川の目は潤んでいた。仲間たちから背中をたたいて労われた後、ベンチの最前列で静かに続く戦いを見守っていた。「監督の期待にも応えられなかったのは一番悔しいです」。

2-1の8回1死二、三塁でマウンドへ。迷わず投じた152キロ直球を、森下にはじき返された。「真っすぐを自信を持って投げてたので、もう打たれてしまったならしょうがないというか、相手が上だった」。日本シリーズでフル回転してきた右腕も思わずうなだれた。

2点リードで迎えた8回。3試合ぶりに登板した山崎颯が、3連打を浴び1点差に詰め寄られた。ここでレギュラーシーズンでは1度もなかった3日連続の3連投を解禁。中嶋監督自らマウンドに行くと、4試合連続登板となる宇田川への交代を告げた。

「3連投だったんですけどね。状態はいいと聞いていたので、ここ三振取ってくれるのは宇田川ということで。相手もうまく打ちましたし、しょうがないです」。託した指揮官は試合後、淡々と振り返った。この日は試合前から総動員モード。エース山本をブルペン待機させるスペシャルプランを発動した。約5年ぶりとなる中継ぎでの登板機会こそなかったが、総力戦で挑んだ。

連敗を喫し王手をかけられたが、1日挟んで4日から本拠地京セラドーム大阪へ戻る。「もう追い込まれたわけですから。開き直るわけじゃないですけど、京セラ帰りますし、2つ勝たないといけないわけですから頑張りますよ」。指揮官はいつもと変わらぬ様子で前を向いた。宇田川も「もう後がないので、1試合1試合引きずらずに強気なピッチングでやり返したい」と切り替えた。あと2試合、勝てばいい。【磯綾乃】

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