日本一でもそら動きまくりよ。阪神岡田彰布監督(65)が12日、小野寺暖外野手(25)に約1時間及ぶ打撃の熱血指導を敢行した。高知・安芸での秋季キャンプ第3クール2日目。ティー打撃中の小野寺に身ぶり手ぶりを交え、就任後最長の“マンツーマン”指導を行った。その後は三塁ノックを受ける渡辺諒内野手(28)に約25分の守備アドバイスを送るなど精力的。12球団最年長監督が、来季V2へ底上げに余念がない。

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午後1時55分過ぎ、岡田監督がバックネットに向かってティー打撃を行う小野寺に歩み寄った。指揮官はノックバットを手に持ち、手首の使い方を実演。リストを返してバットの先を地面につける動作を中心に、何度も繰り返して伝え続けた。午後3時前にようやく終了。第2次政権の監督就任後最長の約1時間に渡る“マンツーマン”の熱血指導で、極意を伝授した。

逆方向への右打ちを得意とする小野寺をさらにレベルアップさせるべく、宿題を課した。「小野寺はどっちか言うたら、独特な打ち方やからな。右の方にな、リストを返さんで打つ方やからのう」。昨秋のキャンプで大山に指導した「上からボールをたたいてスピンをかける」打法で、「そんな力入れんでもボールに力が伝わるような感覚やったら、ボールは飛びますよということよ」と説明した。

4年目の今季は7月上旬から1軍に定着し、43試合の出場。時には中軸で先発を張るなど、打率3割4分7厘、11打点と奮闘した。指揮官は「内角のボールを一、二塁間へ持っていくのは独特のものを持っているわけや。それにプラスして、引き出しが多い方がもっと対応できるっていうことやからな」と説明。今季の方向別安打の6割以上が右方向というデータからも、もっと引っ張れば、打撃の幅が広がるとの指摘だ。

今キャンプ中は主に三塁の守備練習を実施中だが、外野陣は不動の中堅近本を除き、両翼には森下と、来季去就が流動的なノイジーがいる。指揮官は「1軍のベンチに登録している以上は、ゲームになったら戦力なわけやからな。それ(小野寺の成長)はもう全体的なレベルアップやんか」と期待を込めた。

さらに自身が現役時代にスイングした後、バットを三塁側に飛ばしていたことを例に奥義を説いた。「今の右バッターなんか特に、全然リストターンしてないから、バットがサード側に飛べへんもな。(バットの)ヘッド立たさな」。小野寺の指導中もその意図でバットの先を地面につけていた。「100やっても直らんわな。120くらい極端にせんとな」。より分かりやすく、丁寧に。日本一に満足せず、V2へ底上げを目指す秋。65歳が元気だ。【古財稜明】

▼小野寺は右打者ながら今季の左翼方向への安打は5本だけ。外野に飛んだ25本のヒット中、20%に過ぎない。プロ通算でみても、左翼へは11安打。外野への全41安打中、26・8%と少ない。逆に今季の右翼への安打は16本で、外野への安打全体の実に64%。通算ででも右翼への安打は22本。外野への全41安打中、53・7%と過半数以上を締める。通算本塁打2本は右翼と左翼が1本ずつとなっている。

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