プロ野球の12球団合同トライアウトが15日、千葉・鎌ケ谷で行われ、59人(投手41人、野手18人)が実力をアピールした。カウント1-1からのシート打撃で、阪神から戦力外となった高山俊外野手(30)が右中間二塁打を含む5打数2安打2四球1盗塁。16年新人王が地元千葉で2304人の声援を受けながら、現役続行への執念を見せた。

     ◇     ◇     ◇

30歳になった高山が、打って走って、がむしゃらに食らいついた。第1打席、フルカウントからソフトバンクの左腕岡本の137キロ直球を捉えた。右中間を破る二塁打。三振を挟んだ第3打席、元ヤクルト山川の148キロ直球を右前に運んだ。次打者の5球目には二盗に成功。衰えのない俊足も披露した。「泥くさくしがみつく姿だったり、本当にもう自分の今持ってる力を出そうと思ってました」と振り返った。

栄光に彩られた道を歩んできた。日大三高では2年春にセンバツ準V、3年夏に全国優勝。明大でも1年春からベストナイン6度、通算安打記録も塗り替えた。2球団競合のドラフト1位で阪神に入団し、新人王を獲得した。しかし、プロ3年目から打撃不振もあり、出場機会が激減。今季はチームが日本一も出場なく戦力外通告を受けた。「もう失うものもない。悔しがっててもしょうがない」とプライドを捨てて集中していた。

エリート街道から外れ、寒い中でのファンの熱い声援が身に染みた。「いったん戦力外という形になりましたけど、またプロ野球選手目指してやりたい」。何度も「泥くさく」を繰り返し、はい上がる覚悟を示した。【斎藤直樹】

【阪神高山俊がマルチ安打 59人が参加 プロ野球12球団合同トライアウト/詳細】