目指せ右のT-岡田! 阪神井上広大外野手(22)が16日、新打法で岡田彰布監督(65)にアピールした。高知・安芸市での秋季キャンプ最終クール2日目。フリー打撃で84スイングし、18本の柵越えを放った。指揮官はオリックス監督時代の愛弟子・T-岡田外野手(35)も、同じ「ノーステップ打法」を取り入れた10年に本塁打王となったと回想。母校履正社(大阪)の大先輩のような覚醒が待たれる。指揮官の一問一答は以下の通り。

 

-井上の打撃練習をみていたが

「おーう、今日はえらい良かったなあ。なんかあったんかなあ」

-迫力があった

「うーん」

-秋は伸びる時期とおっしゃっていたが

「うーん。ちょっと変えよったよな、打ち方とか。ステップな」

-ノーステップにしたが

「おーん、ノーステップに近い、なあ。そらお前、前で野口が打っとったから余計やろ。同じ右でなあ。外野で右バッターいう意味ではなあ」

-来年は5年目

「来年5年目か。井上も。今度の1年と一緒やな、ほーう」

-勝負がかかる

「うーん。勝負。うーん。なかなかのう。(1軍に)割って入るのも厳しいかもわからんけど。なあ。一軍に定着という意味ではなあ。やっぱりどうしてもええときと悪い時の差があるもんな。なあ。ファームの選手はとくにそうやなあ。いい時期が短いというか」

-どうすればいいか

「そんなんもう自分でやるしかないやんか。はっきり言うて。ええときばっかり1軍あげられへんもんなあ。そんなにうまいこと。それはお前、タイミングやんか。誰がけがするとか、けがしたらアカンけどなあ。まあ誰かが調子が悪いとか、外野手いないか、というときに調子がええとかそれはもうタイミングやんか」

-長打力が魅力。課題とするところは

「それはもう確実性やんか」

-打ち方を変えてノーステップにしたり…それはいいことか

「ノーステップするということは確実性を増そうということやんか。結局は。だからオリックスの時にT(岡田)もそうやんか。結局、まず打率を上げようと。そこからの基準でヒット狙いがホームランにもなあ。そらほかのもんよりもパワーがあるわけやから。それがホームランになるという…それでホームラン王とったんや。あれ。Tもなあ。なあ。ノーステップで取ったんやで。アレ」

-Tは確実性を増そうとして挑戦した

「タイミングの取り方が下手なんよ。足上げたり、いろんなことをしとったけどな。うーん。結局、自分のポイントで打たれへん。タイミングをとるのが下手やからな」

-それが改善されて打者として一皮むけた

「そうそうそう。あれ、楽天の室内に連れて行って、いつや5月くらいやったかな、で、ノーステップにさせたんは途中からやで。まず言ったのは、『アウトコースのボールをレフト線に打て』って言うたんや。レフト線にヒットや。今までそんなん見たことない。みんな引っ張ればっかりやから。その試合でレフト線に二塁打を打ちよったんよ。アウトコースのボールを。その1本だけよ。それがきっかけよ、アイツの。そんなもんや、バッティングなんか、それでガラっと変わってもうたんよ。それで外を打たれたから相手のピッチャーはまた考えるやんか。今まではそんなところ、引っ張ってセカンドゴロのところをレフト線に打ったからな。コンパクトに」

-その時は打撃コーチを通してか、監督から直々に監督が伝えた

「そうや。俺が室内に連れて行った。球場の前のな。多分そうやったと思う」

-イレギュラーな形の指導だったか

「そう。ノーステップで打てなんか初めてや。初めて、初めて」

-井上もチャンスをつかんでほしい

「まあ、つかむ……、それはわからんけど、俺がそんなんほしいほしいって言うたらいっぱいおって困るやんか。困るって言うたらおかしいけど、全体的なレベルアップは必要やけどな」

-あのパワー、体、素質はもったいない

「もったいないって言うか、それはまあ、もう今度、来年5年目やろ? 別に早いとか遅いとかっていう問題からいったら、大学行ったと思ったら、来年でプロ1年目っていうて、そうちゃうの? 5年目やからどうかじゃなくて、1年目からでもできるやつはいるし、まあそれは何年目とか関係ないからな。何かでチャンスをつかむこともあるわけやからな。まあそれはどういうことが起きるかわからへん。そのためには、ある程度力を付けておかなあかんということやな。いつそういうチャンスが巡ってくるかわからんのやからな」

-キャンプは「野手の底上げ」と言っていた。井上はその対象の1人か

「1人、2人……、ってだから、そんなにいっぱいベンチにはいらへんからのう。だって今もうなあ、(外)野手何人来てるんや。5人くらいか。まあでも、また2月になったらキャンプの人選とかな、1軍2軍、なんぼ2軍も沖縄行ったから近い言うても、やっぱり1軍のキャンプに参加したいわ、そらな、選手はな。いつでも呼べる言うても、おーん。まあそういう意味でも見極めはしかし、大変やで。だってキャンプのメンバーはお前、内野手は誰々お願いします、外野手は誰々お願いしますやからな、コーチはな。俺からその、最終的には判断するけどな」

-決めるのはもっと先か

「そらそうよ、先や」

-今年はたくさんの選手が実績を作った。信頼している選手はある程度具志川で独自調整させる考えはあるのか

「まだそんなん、そこまでの選手はいないやろ。去年1年ブレイクしたいう選手もいてるしな、おーん。そら来年どうなるか、そんなん分からへんよ、はっきり言うて。そこまでな、ベテラン組言うたらおかしいけど。そこはおらんやろ、でも」