ソフトバンク柳田悠岐外野手(35)が28日、都内で開催された「NPB AWARDS 2023 supported by リポビタンD」に出席し、最多安打とベストナインを受賞した。晴れやかな表彰式の舞台で「だめやったらクビになる世界」と来季にかける悲壮な決意を明かした。通算2000安打と300本塁打を目標に据え、36歳シーズンでさらなる「進化」を誓った。

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柳田が率直に心の内を明かした。今季は143試合出場で、打率2割9分9厘、22本塁打、85打点。163安打はパ最多、この日はベストナインにも選ばれた。堂々たる成績にも柳田は「物足りない」と言う。

「どれも若い頃に比べたら全然打てていない。それは年齢のせいか分からないですけど、いい成績を残した時もあるのでそれが基準になっていると思う。僕も球団の方もファンの方もそうだと思います。物足りない数字かなと」

打率はトップに8厘差、本塁打は4本差、打点は2差だった。3冠王も視野に入った今季だが、柳田は絶対値で満足できない。「トリプルスリーをした時からずっとですね」。

15年、当時27歳シーズンで打率3割6分3厘、34本、32盗塁を記録した。同年から「球界の主砲」「ミスターフルスイング」の異名が定着。同時にハードルも上がった。「もちろんよりいいパフォーマンスを出せるように準備はしてるつもり」。来季は7年契約の5年目。36歳シーズンの14年目だ。ベテランの域に差し掛かった。「今年はこんなもんで終わってしまったので、また自分を見直して。それでダメやったら試合にも出られないと思いますし、クビになる世界なので。もちろんそれに打ち勝てるように準備したいなと思います」。背水の思いともに、年齢に抗う覚悟を示した。

今年の6月28日には通算250本塁打、同8月18日には通算1500安打を達成した。表彰式の壇上では次なる目標を「2000安打と300本を目指して頑張ります」と宣言。近藤とともに開幕スタメンが確定している柳田は「来シーズンは必ずリーグ優勝、日本一になります。若い選手と同様に動ける体を作っていきたい」。まだまだ衰える気はない。【只松憲】