ファーストは譲らない。ソフトバンク中村晃外野手(34)が11月30日、都内で行われた「第52回三井ゴールデン・グラブ賞」の表彰式に出席した。前身の南海を含め、球団初となる一塁手部門で4年連続受賞。24年は35歳シーズンを迎えるが「来年も取れるように」とパ最長となる5年連続受賞に意欲を示した。近藤健介外野手(30)はプロ12年目で初の同賞を外野手部門で獲得した。

  ◇  ◇  ◇

守備の名手に贈られる輝かしい表彰式。無数のフラッシュライトを浴びながら中村晃は言った。「この賞を目標にやってきましたので、4回目を取ることができて非常にうれしいです」。一塁手部門で4年連続受賞は、99年~02年に獲得した小笠原道大(日本ハム)に並ぶパ最長記録。クールな職人が球団初の勲章を手にした。

今季は一塁手として118試合にスタメン出場した。守備率9割9分8厘は両リーグトップ。1016回の守備機会がありながら、失策はわずか2つにとどめた。中村晃は「とりあえずミスなく。難しいプレーというよりかは、普通のプレーができるように意識しています」と淡々。“相棒”のファーストミットは「9年ぐらい使っています」と入念に手入れしており「しっかり収まってくれる。中で(ボールが)遊ばないように。ファーストミットはそこを重視するかもしれないです。あとは(手に)はめた感じ、フィーリングとかもあります」。来季は新調する可能性もあるが、パ単独最長の5年連続受賞に向けて「来年も取れるように頑張っていきたいと思います」と意気込んだ。

激しい争いを勝ち抜いた末に栄誉が待っている。一塁手の候補は大砲リチャード、井上ら期待の若手が数多くいる。さらに球団は西武からFA宣言した山川の獲得に乗り出しており、山川が入団となればライバルの筆頭になる。来季の開幕スタメンは柳田と近藤のみ決定済み。中村晃も争う立場だ。「ファーストも外野もできるようにしていく」と準備は怠らないが、ファースト死守は本心だろう。「しっかりミスなくというか。そういうのは意識してます」。24年はプロ17年目、35歳シーズン。まだまだ元気なベテランがパ・リーグ前人未到の記録に挑む。【只松憲】

【関連記事】ソフトバンクニュース一覧>>