プロ野球の快記録や珍記録を振り返る「データで見る23年」。第5回は楽天岸孝之投手です。

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今年39歳の岸がチーム最多の9勝をマークした。チーム最年長投手がチームの勝ち頭となるのは22年美馬(ロッテ)以来で、球団では初だった。8月11日オリックス戦では2年ぶりの完封勝利を挙げたが、今季の楽天で完投したのはこの試合の岸だけ。完投した投手がチームで1人だけは、今季のロッテ(西野)も含めて8、9度目。チーム最年長投手が記録したのは、11年横浜の三浦に次いで2度目。三浦の年齢も上回って記録する珍しいケースだった。

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岸は西武からFAで楽天に移籍して7年目。FAで国内移籍後にチームに長く在籍した選手は02~15年谷繁(横浜→中日)の14年があるが、投手で7年以上は00~06年工藤(ダイエー→巨人)7年、12~18年杉内(ソフトバンク→巨人)7年、14~21年大竹(広島→巨人)8年に次いで4人目だった。長く在籍したおかげで勝利数も多く、今季の9勝を合わせて移籍後は通算55勝。FA移籍した投手では00~06年工藤の53勝を抜き、岸がトップに浮上した。2桁勝利は18年の1度だけと他の投手より少ないかもしれないが、コツコツと白星を積み重ねて最も勝利に貢献したFA移籍投手となった。

来季はプロ入り18年目、40歳を迎える。岸はルーキーイヤーの07年から連続して白星を挙げており、大卒1年目から17年以上続けて勝利は、22年連続の石川(ヤクルト)を筆頭に5人だけ。来季も勝つと西武時代の先輩、西口が記録した18年に並んでパ・リーグ最長となる。オフの契約更改では「若い子たちに負けないように」と10勝への意欲を見せた岸。リーグ記録に加えて、過去6人しか達成していない40歳以上のシーズンでの2桁勝利も期待したい。【多田周平】