「40」の大台の次に、見据えるのは「師匠超え」-。巨人岡本和真内野手(27)が、都内で西武中村剛也内野手(40)と7年連続の合同自主トレを行った。

自主トレ1年目から課されていた40本塁打を、今季初めてクリア。2年ぶり3度目の本塁打王にも輝いた。「おかわり師匠」から太鼓判をもらい、師匠も未到の「50本塁打」を期待された。【取材・構成=久保賢吾、山崎純一、小早川宗一郎】

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岡本和は中村の褒め言葉を照れ笑いで受け止めた。

中村 もう技術的に言うことはないし、むしろ教わりたいよ。来年は俺からお願いしようかな。

岡本和 いやいや…(笑い)。ありがとうございます。

合同自主トレを開始して7年目。プロ3年目を終えて通算1本塁打だった若き主砲は“入塾”後の18年に33本塁打を放ち、今や通算206本塁打と日本を代表する主砲になった。

中村 世界一のWBCメンバーですから。6年連続30本はすごい。初めて来た時は、まだ細かったもんね。

岡本和 かなり成長させてもらいました。今の僕があるのは、中村さんのおかげです。

今季、岡本和はキャリアハイの41本塁打で2年ぶり3度目の本塁打王に輝いた。40発を3度経験した中村に課された「40発」の大台を、ようやくクリアした。

中村 40発と言っても、終わってみると、そんなに打ってる感じせえへんやろ?

岡本和 意外と40本でもそんなに打ってる感じはしなかったです。

中村 もっと打てると思うよ。(自己最多48本塁打を放った09、11年も)いっぱい打ったなとは思わなかった。もうちょっと打てるな、と思ってたから。そこから打たれへんかったけど。

「40本の壁」を突破した心の内は、満足感ではなく「もっと打てた」という未来への手応えだった。

中村は、通常の打者なら悪癖になりかねない動きで結果を残す弟子を“天才的”と評す。

中村 バットが身体の後ろに結構、入るよね。そうすると外からバットが出て来るから詰まりやすい。でも、天才だから打てるんだと思う。身体の使い方がうまいんじゃないかな。(エンゼルスの)トラウトも構えはバットが上で外から出てきそうだけど、打つ時には下がってくるから問題なく打てる。

岡本和は昨季終了後に、両足平行のスクエアスタンスから、左足を開くオープンスタンスに構えを変更。確実性を高めたことで、打率は昨季から2分以上、上がった。

中村 だからレフトにホームランが多いんでしょ。スクエアだとバットが背中側に入りやすくなって、レフトへの打球がドライブ回転してファウルになる。

岡本和 それはありますね。打席で捕手寄りじゃなくて真ん中に立っていたので、ポール際がギリギリ残った感じはありました。

実際に岡本和は今季、右翼と中堅方向への本塁打が昨季の14本から6本に減少。一方で左翼方向は16本から35本と大幅に増え、本塁打の打球方向割合が変化した。

最強のアーチストへ、もう一押し。

中村 長打率6割は目指した方がいいかもしれないね。OPS(出塁率+長打率)なら、1は超えたい。

岡本和 OPSは意識してました。1は超えたいですね。四球を増やしたい。

岡本和の今季の長打率は、12球団トップでキャリアハイの5割8分4厘も、6割には届かない。シーズン最終盤には6試合連続無安打とペースが落ちた。

中村 これ50発くらい、いくんちゃうかなって。また打ってる、固めてると思ってた。最後の方は全然やったけど。

岡本和 6試合連続タコって、シーズンフィニッシュしてるんで…。

中村 開幕タコったら…。

岡本和 無安打記録が継続されるんで、やばいですよ(笑い)。そうならんように頑張ります!

師匠を超える50発の大台へ。セ界のホームランキングは、まだまだ伸びる。

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